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ネコ ページ28

-樹 side-


樹「ん...」

明け方、かすかな物音で目が覚めた。

こんな時間にゴソゴソ袋の音。
気になって部屋から出て音のする方へ行くと、


樹「...何してんの?」


白のパーカーに黒のスキニー。
顔バレを防ぐためかキャップと伊達メガネをかけたAさん。


まさか誰か起きてくると思わなかったのか、
ビクッと肩を揺らしてゆっくりを振り返るAさんは
目が泳ぎまくっている。


A「おはよう、いっちゃん」

樹「質問に答えてください」

A「...寝起きも男前だね」


あからさまに別の話題に変えながら
一歩ずつ玄関の扉に近づく。



もしこれでAさんが誰かと会うなら...。


RAMPAGEはこれからであって、
少しずつファンが増えてきた今、
スキャンダルは御法度。


樹「部屋、戻ってください」

A「いや、無理」

樹「ダメです」

A「だって今日も行くって...」

樹「今日も?」


ってことは何...。

いつからか夜みんなで騒いでいたAさんが
"疲れた"と言って誰よりも先に寝ていたのは
その"誰か"と隠れて会うために早く寝てたってこと?


A「見逃して!」

樹「ダメなもんはダメです」

A「...もう、そんなに言うなら樹も来る?」

樹「え?」


まさかの言葉に戸惑いが生じるけど、
この様子だときっとAさんも譲らないだろうし、
仕方なく俺も簡単に出掛ける準備をして
Aさんと一緒に家を出た。


樹「ってか、その袋何が入ってんすか?」

A「あ、これ?」

樹「はい」

A「ご飯だよ?」


さも当たり前みたいに応えるAさん。

...え、お弁当ってこと?
そもそもAさんって料理出来るの?


そんなことを考えていると着いたのは
家から1番近い公園。


A「こっちだよ」


Aさんに手を引かれて向かったのは公園の少し草が茂っている場所。


樹「こんなとこに誰が...」

A「ちょっといつまでも小言言わないでよ、
 特別に連れて来たんだから」


若干ふてくされてしまったAさん。

...元はと言えば黙って外出しようとした方が悪いと思うんだけど。


なんて思うけど、それこそ口にしたら厄介なので黙っておく。


A「あ、あれだよ」


Aさんが指さす先には少し大きめのダンボール。


樹「えっ...」


中をのぞき込まなくても、
その中に何がいるのか何てすぐに分かる。

近づくたびにはっきり聞こえてくる泣き声。

▽→←▽



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作者名:ちゃそ | 作成日時:2019年8月15日 21時

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