SHORT STORIES from THE RAMPAGE

Kazuma Kawamura (2) ページ10

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( 彼女 )




「よしお〜！」



Aが、“ よしお ” という男に抱きついて離れへん。



ずっとよしおをムギュムギュ抱き締めながら頬擦りしとる。



「ん〜 よしお〜〜〜。」



浮気やん。こんなん。

なんでこんな目の前で浮気現場見せつけられなあかんねん。



「う〜ん。大好き〜。」



だ、だいすき！？

あ゛あ、もう我慢出来ひん！



「いい加減、離れろや！」

「え、やだ。」

「やだじゃねえ。コイツ嫌がっとるやろ。」

「全然嫌がってないよ。ねぇ？よしお？」



くっそ。

更にギュッとしやがる。



「よしお、今日は一緒に寝ようね？」

「は？絶対あかん！」



一緒に寝るとか有り得へんやろ！



「壱馬のお布団は別で用意してるから大丈夫だよ？」

「全然大丈夫やないし！ダメなもんダメや！Aは俺と寝るんや！」

「よしお〜、壱馬も一緒に寝たいんだって？いい？」

「誰も一緒に寝るなんて言うてへんわ！」

「壱馬も一緒に寝たくなると思うよ。ほら〜。壱馬に挨拶しよっか？」



“ クゥン ” と小さく鳴いたよしおは俺に寄って来て、



「おわっ、擽った！ははっ、やめろって！よしよし！」



めっちゃ色んなとこ嗅いで来るし舐めて来るし。



Aはというと、ニコニコしながらムービー撮っとる。



「お前、もふもふやなあ。」



腹見せて、スリスリと身体を擦り付けて来る。撫でろってか？ったく。



「おらっ！」



もふもふを堪能しながら、気持ち良さそうに目を細めるそのポイントを撫でたり、こちょこちょしたり。



「よかったね、よしお。」



そう。この “ よしお ” は、Aの実家のワンちゃん。
初めて会いに来た。

甘えん坊で、めっちゃかわええ。



「大人しくていい子やな。」

「うん。飼い主が好きな人のことは好きみたいだよ。」

「じゃあ、よしおは俺んこと大好きやな！」

「よしお？私の方が大好きだよね？」



って、そういう意味やないし！



ったく、



「Aは俺のこと大好きやから、よしおも俺のこと大好きなんよな？ってことなんやけど。」

「なっ！？」



くくっ。めっちゃ顔真っ赤。



「今日は３人で寝よな？」







＿＿＿＿＿＿＿その夜、３人(２人と１匹)は、川の字になって眠ったとさ。




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