26の段。 ページ27
外から聞こえたのは、喉が張り裂けそうなほど大きな声でAの名前を叫ぶ七松の声だった。
思わず顔を上げて目を見開く。
わざわざ助けに戻ってきたのか。
はたまたAを探しに店まで来て囲まれてしまったのか。
どちらにしろ、あまり余裕のある声には聞こえない。
激しく動く足音を聞く限り、外にいる見張りや敵と交戦しているようにも思える。
しかし、七松の実力がどうであれ、Aというハンデがある以上中々派手には踏み込めないはずだ。
どうにかしてここから抜け出し、一緒に逃げなければ。
そう考えていた矢先、いきなりガッと口に噛んでいた布を外された。
目線を上に向けると、『ほら、愛しい男に声だけでも聞かせてやれよ。』と馬鹿にしたように嘲笑う賊達。
『私はここですよー、助けてー…ってな!!ハハハ!!』
『例の旦那様じゃないか?泣いて縋るのもいいぜェ…いや、むしろ俺らが泣かせてやろうか!』
「………彼は、…彼だけは逃がしてやってくれませんか。」
『あ?』
「彼を無事に帰してくれれば、私には…何をしても構いません。大人しく言うことも聞くし、どうか、どうか彼だけは…、」
『おーおー健気だねェ。じゃあ何か?勇猛果敢に飛び込んできたご立派な旦那様に、お前がどんな醜態を晒そうとも大人しくしてるって事か?』
「……はい。彼はまだ未来ある若者で…、何より彼はわたしの心に決めた方だから。」
少し涙ぐみながら健気な女を演じてみる。
チラッと顔色を伺うと、男はこの純粋でひたむきな女の演技にまんまと引っかかって苛立ちを隠せずにいた。
小さく舌打ちをし、『…よくもまァ反吐が出るような愛情巻散らせるぜ。そんなに愛されてるなら、好きな女がどんな姿になろうと愛してくれるはずだよなァ!?』と叫ぶ。
力任せに脚の紐を解くと、Aの足を乱暴に開かせた。
着物が乱れ、勢いに任せて馬乗りされる。
『あァん?!なにか叫ぶなり怖がるなり言ってみろよオラッ!!!!』
「…馬鹿は床まで短気なのか?笑」
この時を待っていたのだから。
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み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - あまねさん» 嬉しいありがとう(^_-)-♡ (11月10日 2時) (レス) id: 2818f71099 (このIDを非表示/違反報告)
み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - れなさん» わー!ありがとうございます!きまぐれ更新なので気長に付き合ってくれると嬉しいです!!高学年のと絡み!!!四年生とか絡みやすそう!!!!頑張ります!!!! (11月10日 2時) (レス) id: 2818f71099 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すき (10月27日 14時) (レス) @page33 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、、お時間のある時更新お願いします!文才が天才すぎて、、もっと高学年との絡みとイチャイチャ沢山みたいです()完結までついていかせてください! (10月21日 5時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - ふれあさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!続きをたくさん更新できるように頑張りますので、これからも読んでいただけると嬉しいです( ˊᵕˋ )♡ (2023年5月15日 12時) (レス) id: 2818f71099 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:み ゅ ー ぽ む 。 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2023年4月14日 3時