トラッパーと毒 の段 ページ3
四年は組、六条三郎丸。
眉目秀麗。成績優秀。
は組なのに。ではなく、『一年は組がアホのは組というだけ』という説すら流ている。
そんな彼は、同級生である四年い組の綾部喜八郎に用があった。
不運な生徒が集まるという保健委員会。
そこに在籍する兄、次郎丸が落とし穴に落ちたためである。
「喜八郎」
「おや、三郎丸。どうしたんだい？」
今まさに新たな落とし穴を掘ろうとしていた喜八郎を見付け、三郎丸は声を掛けた。
「兄さんがお前の掘った落とし穴に落ちた」
「おやまぁ」
「で、武器を持ち出して暴れそうだったんだ」
「大変だねぇ」
「お前なぁ……」
話を聞いてるのか聞いてないのか。
わからないくらい淡々と返事をするので、三郎丸は滝夜叉丸を見付けてから喜八郎を探せばよかった……と後悔した。
滝夜叉丸なら喜八郎の感情の機微がわかるからである。
「とにかく、もうあまり掘るなよ。これ以上掘ったら、食満先輩に言い付けるからな」
「ゲッ………」
心底嫌そうな声を出したが、喜八郎の表情はあまり変わっていなかった。
「………六条先輩とかのことはともかく、他にも用があるでしょ」
喜八郎がそう問うと、三郎丸は苦虫を噛み潰したかのような顔をした。
「…………………………次の実戦訓練、三年生とじゃなくて五年生とだってさ」
「来週のやつ？ 内容は？」
「来週の。内容は、四年生は五年生の中で大将役の人物を制限時間内に捕まえたら合格だって」
「…………三郎丸」
「？」
「とびっきりの、お願いね」
「言われなくとも」
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作者名：架空以内 | 作成日時：2024年3月17日 20時
