四年生 の段 ページ20
〜三郎丸side〜
あの後。
滝夜叉丸、三木ヱ門、喜八郎、守一郎、タカ丸さんの五人は僕の部屋に泊まると聞かなかった。
いや、タカ丸さんは遠慮していた。
それを滝夜叉丸と三木ヱ門が押してきた。
二人とも、七松先輩と潮江先輩に似てきたな……。
ギッチギチに布団を敷いて、雑魚寝になるのは確定していた。
寝る場所に関しては、僕は壁際を希望した。
「そういえば、お布団を壁際に敷いてたね」
「よく見てますね、タカ丸さん」
「クラスメイトだもの」
嫌味のつもりだったのに……。
僕、こういうの向いてないのかな……？
「なんか、楽しいな」
「雑魚寝がか？」
布団に寝っ転がり、守一郎が言った言葉に三木ヱ門が問う。
……まあ、確かに楽しい……かも。
「ねーねー。僕さ、いつも同学年なのに三郎丸くんにだけ"くん"付けだったからさ、今日からやめていい？」
「それはタカ丸さんの好きに……」
「ありがとう」
そういえば、なんで四年生の仲だと僕だけくん付けだったんだろう……。
「……喜八郎、さすがにそれはどうかと思うぞ」
壁際で寝転がる僕にしがみついてきた喜八郎に、滝夜叉丸が苦言を呈する。
ちなみに、寝る場所をわかりやすく説明すると
僕、喜八郎、滝夜叉丸がいて向かいに
タカ丸さん、三木ヱ門、守一郎がいる。
滝夜叉丸と守一郎は戸が一番近い。
「喜八郎は、三郎丸が大好きなんだね」
「そうですよ。少なくとも、信頼されていなかったことにショックを受けるくらいには」
タカ丸さんに淡々と喜八郎は答えた。
これは、多分拗ねてるな……。
「まあ、気持ちはわかる。しかし、隠し事はしないといっても私達は忍たま。忍者のたまごだ。全てをさらけ出すことはできないぞ」
三木ヱ門が窘めると、喜八郎の手の力が強くなった。
「それはそれ。これはこれ」
「逃げるな」
わちゃわちゃと、楽しい。
中身のない話題を駄弁るのが、楽しい。
………やっぱり、僕は…………
「お前たちが大好きなんだなぁ………」
思わず呟いてしまい、顔が熱くなる。
目の前のタカ丸さんはキョトンとしてるし、喜八郎はじっ、と僕を見つめて………というか滝夜叉丸も三木ヱ門も守一郎も見つめてる。
恥ずかしくなった僕は、布団を被った。
もちろん
「おやすみ！！」
と勢いに任せて言って。
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作者名：架空以内 | 作成日時：2024年3月17日 20時
