許嫁 （上）【煉獄杏寿郎】【冨岡義勇】

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間違いない。

少なくとも煉獄家の方だと一目でわかる派手な髪色。


上背からみて杏寿郎様だ。


隊服ではないので今日は非番なのだろうか。



彼よりさらに上背があり銀髪をなびかせる男性が、

杏寿郎様の肩に腕をまわしながら身振り手振りに
何かを説明している。



それを真摯に聞く彼の横顔。




「えっ！？あれって煉獄様じゃないの？？
あんなところで、、」




そう驚くと姉さんは眉間にしわを寄せる。


その言葉に、もう一度どんなところかと
杏寿郎様を囲む景色に目をやる。


明らかに建物の造りから、雰囲気から違うその一帯。



立派な吹き流しの飾りが道のわきを埋めて
曇り空で辺りがすでに薄暗いためか、

二階・三階建てのその建物の中から
色のついた灯りが漏れている。




(・・・遊郭)



菫姉さんの顔に笑顔が戻る。



「そういえば、最近鬼が遊郭に出るって聞いたのよ。調査中かしらね！」


「・・・そうね、
杏寿郎様だと目立ちすぎる気もするけど。」


「でもほら、刀も持っていなかったみたいだし、
一般人のふりしていたじゃないの。」


「・・・。」



(別人の「ふり」をする任務なんて
誰から見ても杏寿郎様が適任なわけないじゃない)



少しやけになってしまう自分に
余計にもやもやとした。




「それより早く甘味処行きましょう！
姉さんおなかすいてきたわ〜」


「・・・うん、暗くなる前に行こっか」



姉と久しぶりに手をつなぎながら、

私の頭では彼の言った


「俺は(経験)ない！！」



という言葉が様々な色になって何度も流れていた。





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