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また雪でも降りそうな程外は寒く
足元の雪は溶けるのを止めてしまった。
「その昨夜の鬼は冨岡が斬ったのか？」
周りに広がる畑
まばらに立つ雪を残す案山子
それらを見ながら
先刻の杏寿郎様からの言葉を
ぼんやりと考えていた私に彼が問いかける。
「ええ、すぐに駆けつけてくださいました。
私も猟銃をを撃ってみましたが全くだめで・・・」
杏寿郎様は「君が猟銃を？」と目をまん丸くする。
「父も姉も大怪我を負いましたが
命が助かっただけで本当にありがたいです。」
「うむ。
その君の心の強さが家族を支えているんだろう！
そういう紫が俺は好きだ！」
一度私に想いを告げたからか、
杏寿郎様が全く抵抗なく「好き」と言葉にするので
なんだか子どものようでいじらしい。
それに自分の心が強いだなんて思ったことがなくて
少しこそばゆい気持ちになった。
彼の鴉― 要は
ろくに寝ていない私と
それに合わせる杏寿郎様の亀程の歩く速度に合わせて
これでもかとゆっくり飛んで導いてくれている。
そのよく訓練された誇り高い鴉の背景で
暗雲に唆され我慢ならないというように
ぴかっと稲妻が飛び出した。
「降りそうですね」
「うむ！先を急ぎたいので
俺が君をおぶうというのはどうだろう？」
「えっ」
慌てて彼の横顔を見上げると
至って真面目な顔だった。
自分の顔が赤くなっていくのが分かる。
「それはちょっと・・・」
「む？だがこないだ屋敷に来た時には
君をそうやって布団まで運んだろう？」
そう言い
さぁ！とでもいうように目の前で屈む。
困った、とその背中を見つめていると
彼の羽織をぽつっとひとつふたつ、水滴が濡らした。
「よもや！」
空を見る間もなく目の前が大粒の雨で霞む。
だがその雨が私の髪一本を濡らす前に
杏寿郎様の左腕が私の頭上で羽織を広げ
気づくと私は彼の左脇にすっぽりと収まっていた。
周りの空気を雨の匂いが支配する中
羽織の下だけは杏寿郎様の匂いでいっぱいだ。
「あっ ありがとうございます」
うむ、と杏寿郎様は微笑む。
これなら歩いて行ける
そう二人で目で確認し合った矢先だった。
(あれ？先刻ここに案山子なんてあったかしら)
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いろ(プロフ) - satoさん» 読んでいただきありがとうございます！更新頑張っていきます^^ (2021年4月13日 22時) (
レス) id: aed08086d2 (このIDを非表示/違反報告)
sato(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。推しのお二人なのでとても楽しいです！そして、寛三郎の菓子の寝言には可愛さが溢れました^_^更新楽しみにしております。 (2021年4月12日 16時) (レス) id: 7113727fb0 (このIDを非表示/違反報告)
いろこ(プロフ) - にゅーとさん» すごく嬉しいお言葉ありがとうございます！！これからも少しずつですが、頑張って更新していきます^^ (2021年4月4日 23時) (レス) id: aed08086d2 (このIDを非表示/違反報告)
にゅーと - はじめまして！今日初めて拝見させていただいたのですが面白くて一気に見てしまいました！推しの2人なのでとても嬉しいです。更新頑張ってください！ (2021年4月3日 14時) (レス) id: f2a9229dc1 (このIDを非表示/違反報告)
いろこ(プロフ) - 凪子さん» 読んでいただいてありがとうございます！あたしも二人が大好きです^^ (2021年3月22日 20時) (レス) id: aed08086d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いろ | 作成日時：2021年3月8日 14時
