冨岡義勇視点： 藤の花の家紋の家編3 ページ29
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それから何事もなく
紫の屋敷にもう二晩護衛についた後
次の藤の家での二日目の夜だった。
「義勇・・義勇・・」
背後から飛んできた寛三郎が
その弱った喉を振り絞って声を張り上げる
その様子から何が起こったか直感した。
「菓子ノ娘・・・オ⁻」
既に走り出していた。
「・・・ニジャ」
紫の屋敷は此処から全速力でも十五分以上。
一刻も早く・・・
着けば塀の一部にくり貫かれたような穴。
手元で鯉口を切る。
鬼の気配は屋敷の裏
家族の寝室辺りー
そこには紫をニヤついた顔で見る
体躯のある鬼がいた
手先が鋸のような異形
水の呼吸 肆の型― 打ち潮
頸が床に落ち、鬼の身体は崩れていく。
煙を吐く猟銃を握り
寝巻姿で床に座り込む紫。
その膝元には屋敷の主が倒れ呻いている。
彼女の母は紫の背後で失神していた。
「水柱様・・・申し訳ないですが、
手を貸していただけますか」
起こしてやると主は右手の指半分を無くし、
左腕はだらんと骨折していた。
震える手で離そうとしない紫から
猟銃を取り上げる。
(生きていてよかった)
一度助けた筈の紫なのに
「今度は守れた」
と思う俺は未だにつくづく都合のいい奴だ
「紫、よく聞け。
お前は生きている。お前の親も。」
「・・・・・はい」
「俺が来るまでよく堪えた」
夜明けまで二時間ほどだろう。
寛三郎に近場の隊士数名と隠を呼ぶように告げる。
到着次第、
直ぐに他の藤の花の家紋の屋敷にも廻らねば。
辺りに漂う藤の花の香。
やはりこんな弱小の鬼にさえも効いていない―
鋸鬼のせいか屋敷は至る所刻まれ、
最早住めるような状況ではなかった。
彼女の父も、意識を取り戻した母も
屋敷が受けた被害に顔を歪ませる。
「ひどすぎる・・これでは住めたものではない」
「俺の・・屋敷に泊まるといい。」
主は大層驚いた顔をした。
「命を救っていただいたのに、そんなご迷惑をお掛けできません」
「どうせ殆ど寝にしか帰らない。
この状況では比較的安全だろう」
藤の花の家紋の家の主であるなら、知っている筈だ。
柱が支給される屋敷は、藤の香炉による対策以外にも
本部直伝の鬼には見つかりづらい細工を施してある。
主もそれに思いあたったか、
まだ蹲ったままの娘に目を遣り
俺の申し出を受けた。
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いろ(プロフ) - satoさん» 読んでいただきありがとうございます！更新頑張っていきます^^ (2021年4月13日 22時) (
レス) id: aed08086d2 (このIDを非表示/違反報告)
sato(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。推しのお二人なのでとても楽しいです！そして、寛三郎の菓子の寝言には可愛さが溢れました^_^更新楽しみにしております。 (2021年4月12日 16時) (レス) id: 7113727fb0 (このIDを非表示/違反報告)
いろこ(プロフ) - にゅーとさん» すごく嬉しいお言葉ありがとうございます！！これからも少しずつですが、頑張って更新していきます^^ (2021年4月4日 23時) (レス) id: aed08086d2 (このIDを非表示/違反報告)
にゅーと - はじめまして！今日初めて拝見させていただいたのですが面白くて一気に見てしまいました！推しの2人なのでとても嬉しいです。更新頑張ってください！ (2021年4月3日 14時) (レス) id: f2a9229dc1 (このIDを非表示/違反報告)
いろこ(プロフ) - 凪子さん» 読んでいただいてありがとうございます！あたしも二人が大好きです^^ (2021年3月22日 20時) (レス) id: aed08086d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いろ | 作成日時：2021年3月8日 14時
