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母が私を布団に寝かす。
私の身体を温めてくれたあの方の羽織は、灯りの元、
左右で紋様が違う珍しい柄を見せてくれた。
(水柱と言っていたし、
やはり初めてお会いした方だ・・)
そのまま安堵感で眠りに落ちる。
翌朝起きると、身体が重く、少し熱っぽかった。
母が昨日の父と水柱様の様子を教えてくれている。
恐れていた鬼の仕業だと聞かされ、血の気が引く父。
その様子を表情一つ変えずに見守る水柱様。
「やはり鬼が・・・
しかし着物の染料が効かないことなど・・」
「実際に鬼に襲われたのだから効かないのだろう」
父はその言葉に一瞬たじろぐ。
「・・・娘の命をお助け頂き感謝しきれません。
藤の花の家紋を名乗る私たちが、
着物の不備のために娘の見苦しい姿を・・・
お恥ずかしい限りです。」
「・・・俺は何も見ていない。詫びる必要などない」
帰り際に羽織を返してほしいと言う水柱様に、
恐れ多くもそのままの状態で返したそうだ。
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(暗闇だったから何も見えてなかったのね。
安心した・・)
改めて夜の出来事だったことに感謝する。
―夜だから鬼と遭遇してしまったのだけれど。
恐らくお父さんもお爺ちゃんもその前のご先祖様も
遭遇したことのない鬼に遭遇した。
水柱様が来ていなければー
考えるほど恐ろしくなりそうなので、
淡々と煉獄邸に向かう準備を整える。
昨日の今日での外出だけど、
空に輝くお日様に勇気づけられた。
「昨夜のことはは杏寿郎様には決して言わないこと」
出掛け間際、雪かきをする父にそう声を掛けられる。
うっかり
「許嫁が、襲われるはずのない鬼に、
煉獄家の近所で襲撃され、
素っ裸で、他の柱に、救われた」
などと杏寿郎様が知れば、
内心穏やかではいられないだろう、と。
(私も昨日遊郭で見かけちゃったんだけど)
ふと昨日の場面を思い出す。
「大丈夫、絶対に杏寿郎様には言わないから」
父の言う通りだ。
そして私はあの水柱様の透き通るような声と、
澄んだ瞳を何度も考えている自分に気づいていた。
凛として揺れない水面のようでいて、
私には計り知れないくらい深く、
暗い過去を感じさせる人だった。
(名は何というのだろう・・・)
お日様で溶けた雪解け水が
側溝を流れるのを見ながら煉獄邸へ向かった。
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いろ(プロフ) - satoさん» 読んでいただきありがとうございます！更新頑張っていきます^^ (2021年4月13日 22時) (
レス) id: aed08086d2 (このIDを非表示/違反報告)
sato(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。推しのお二人なのでとても楽しいです！そして、寛三郎の菓子の寝言には可愛さが溢れました^_^更新楽しみにしております。 (2021年4月12日 16時) (レス) id: 7113727fb0 (このIDを非表示/違反報告)
いろこ(プロフ) - にゅーとさん» すごく嬉しいお言葉ありがとうございます！！これからも少しずつですが、頑張って更新していきます^^ (2021年4月4日 23時) (レス) id: aed08086d2 (このIDを非表示/違反報告)
にゅーと - はじめまして！今日初めて拝見させていただいたのですが面白くて一気に見てしまいました！推しの2人なのでとても嬉しいです。更新頑張ってください！ (2021年4月3日 14時) (レス) id: f2a9229dc1 (このIDを非表示/違反報告)
いろこ(プロフ) - 凪子さん» 読んでいただいてありがとうございます！あたしも二人が大好きです^^ (2021年3月22日 20時) (レス) id: aed08086d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いろ | 作成日時：2021年3月8日 14時
