沈黙の塔、鴉の宴 参 ページ43
森(ニコッ「四年振りだねぇ」
森はにこやかに笑って手を揚げた
森「私が購ってあげた外套は未だ使っているかい?」
太宰「もちろん。焼きました」
森は悪戯をしでかした生徒を見るような目で太宰を見た
貴女(外套って燃やしていいんだっけ?)
福沢「ポートマフィア首領」
福沢が音もなく歩み出る
福沢「森鴎外殿」
森「武装探偵社社長。福沢諭吉殿」
互いに一歩踏み出し、場は更に緊迫する
貴女(お見合いか何かかな…?)
国木田の横に居るセラは呑気なものである
福沢「竟にこの時が来たな」
森「探偵社とポートマフィア(クスッ横浜の二大組織の長が、こうして密会していると知ったら政府上層部は泡を吹くでしょうねぇ」
大人な威厳を称え、話す福沢と、何処となく太宰を思わせる雰囲気の森
貴女(矢張り太宰は育て親に似たな…)
福沢「単刀直入に云おう。探偵社の或る新人が、貴君らポートマフィアとの「同盟」を具申した」
森「ほう」
森には勿論、その”新人”が中島であることは容易に判っただろう
福沢「私は反対した。非合法組織との共同戦線など社の指針に反する。だがそれは、マフィアに何度も撃たれ斬られ拐かされた者から為された提案だ。言葉の重みが違う」
社の指針に反すれど、マフィアに何度も命を狙われた中島からの言葉を、福沢は聞き入れたのだ
まさに社長の鏡と云える
福沢「故に、組織の長として耳を傾けざるを得なかった」
森「お互い苦労の絶えん立場ですなあ」
本心の見えない笑いを溢す森
福沢「結論から云う。同盟はならずとも、”一時的な停戦”を申し入れたい」
森は面食らったように目を見開いた後、スッと目を細めた
森「…。興味深い提案だ」
福沢「理由を云う先ず第一に―((森「T・シェリングを読まれたことは?」
言葉を遮られた福沢は、聞いたことのない名前に困惑した
福沢「…何?」
森「J・ナッシュにH・キッシンジャーは?」
太宰「孰れも戦争戦略論の研究家ですね。昔誰かさんに教え込まれた(ポソ」
貴女「因みに太宰はキッシンジャーが苦手だったな」
太宰「待って、其れ誰から聞いたのだい?」
セラはチラ、と森を見て、太宰を見て微笑んだ
森「そう云えばそうだったねえ」
その時の太宰は,可也歪んだ顔をしていたとの証言が入っているが、放送事故でお伝え出来ないのが残念だ
福沢「…孫子なら読むが」
森「国家戦争と我々の様な非合法組織の戦争には、共通点があります」
森が溜息を吐き出し、語りだした
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幸祐 - 月瀬さん» 有難う御座います!指摘助かります! (2019年7月27日 15時) (レス) id: 991f5a7ceb (このIDを非表示/違反報告)
月瀬(プロフ) - いつも 楽しく読ませて頂いてます!あと、「信念」が「新年」の誤字です… (2019年7月12日 18時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幸祐 | 作成日時:2019年5月10日 20時