緊急プラン 麓 ページ34
モンゴメリ「ここは空の上なのよ?何処に居るかも判らないその人にどうやって人形を渡すつもり!?」
中島は、何も言わずに、力強くモンゴメリを見る
モンゴメリ「そう…やるのね。『白鯨』の対空砲に撃たれて死ぬか、地面に叩き付けられて死ぬか、地上の狂った人たちに引き裂かれて死ぬか…。どれかしかないと知ってて、やるのね」
中島は人形の手から抜け出し、口を開いた
中島「昔読んだ、古い書巻にあったよ。”昔、私は、自分のした事に就いて後悔した事は無かった。しなかった事に就いてのみ、何時も後悔を感じていた”僕は後悔したくない」(院の図書室で埃を被ってたあの書巻…。書いた人の名は何と云うのだろうか?)
モンゴメリは中島をじっと見た
人形の手が中島の眼の前まで迫ってくる
中島「!」
ぽすっ
人形の割と小さい方の手が中島の両手を掴み、大きな手が中島の掌にリュックサックを落とした
中島が呆けて人形を見ると、人形はグッドサインを中島に送った
モンゴメリ「落下傘よ。万一あたしが逃げる時の為に一つ隠しておいたの。差し上げるわ。空の上から飛び降りるなんて馬鹿な殿方、見てられないもの。あのドアを、『白鯨』の外壁に繋げておいたわ」
全て、こうなる事を見越したような行動力だ
モンゴメリは、ただ単純に自分のことを理解してくれる人間が欲しかっただけなのかもしれない
モンゴメリ「後は、落ちるだけよ」
中島「…。いいのかい?僕を逃がしたら君は組合から…」
最悪、殺されてしまうかもしれない
モンゴメリ「独りぼっちは、最初からですもの。其れにアンに勝てる人なんて居ないわ。この部屋にいる限り安全よ」
確かにそうだが、その強さに組合が手を用意していないとは考えられないが、モンゴメリは敢えて言わなかった
モンゴメリ「ねぇ。憶えていて?最初に会った時、あたし達は敵同士だった」
モンゴメリは人形を中島に差し出す
モンゴメリ「あの時、貴方は同僚と、其れに医者のおじさまと一緒だった」
中島がその人形を受け取る
中島「あぁ…あの人は結局マフィアの首領で」
モンゴメリ「らしいわね。納得よ。今でも思い出すもの…『危害を加える敵には徹底反撃を』って云う言葉と、あの魂を凍らせる目。貴方たちとおじさまが協力したせいで、あたしは負けた。少し思うの。あんな風に初めから、探偵社とマフィアに同時に反撃されていたら、いくら組合でも、ひとたまりもなかったんじゃないかって」
その言葉は、また別の希望だった
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幸祐 - 月瀬さん» 有難う御座います!指摘助かります! (2019年7月27日 15時) (レス) id: 991f5a7ceb (このIDを非表示/違反報告)
月瀬(プロフ) - いつも 楽しく読ませて頂いてます!あと、「信念」が「新年」の誤字です… (2019年7月12日 18時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幸祐 | 作成日時:2019年5月10日 20時