ウィル・オフ・タイクーン 釟 ページ21
泉の手には確かに短刀が握られていた
泉は踵を返すと中島の腕を掴んだ
スコット「!!」
欄干に軽々と飛び乗ると、中島を連れて橋から飛び降りた
ドン、と鈍い音がした
…地面に後頭部を打ち付けた音ではなく、船にうまい具合に飛び乗ったのだ
スコット「おや、逃げられたか」
然し、スコットは慌てなかった
スコット「さて♪この場合の対応は…」
懐から分厚い作戦書を取り出した上機嫌のスコットは固まった
Please Do NOTHING
”何もしないで下さい”
凡ての頁にそう記されていた
中島「如何して…此処が?」
泉「…セラさんに、教えて貰った」
泉が出したのは一通の手紙だった
手紙と云うよりも、簡易程の情報だ
その紙には確かにセラの文字で文章が記されていた
―”自分の居たい場所が分かったのなら、其処に連れて行ってくれた中島の場所に行け。そうすれば、自ずと自分が何者か判る。場所は――”
中島「セラさんには解って居たんだね…」
―”追伸:己に飲み込まれる事勿れ”
中島「此れ…僕の事も分かっていたのかな…」
泉「…。判らない。でも」
でも?と中島が首を傾げた
泉「…。岸が、見えてきた」
泉は先珍しく話をそらして、対岸を示した
-----------ちょこっと番外編-----------
太宰「相変わらずの仲悪い二人だけどさ」
真っ白い空間で太宰が嗤う
坂口「待って下さい太宰君。僕たち今生死不明の状態なのですが、この状況は何なんですか!?」
貴女「太宰。阿呆な予測を咬ましたら国木田に云ってお前の書類を五倍にする」
太宰「うんうん、相変わらずで何よりだ。ねえセラちゃん私の事お兄ちゃんと呼んでくれてもいいのだよ?」
貴女「木乃伊迷惑噴霧器社会不適合者」
太宰「セラちゃん、私の硝子の心が折れちゃう」
めそめそと泣き真似をする太宰
貴女「お前の硝子は防弾だろう」
坂口「抑々、上司に何も云わずに組織を抜ける辺り社会不適合を感じますね」
太宰「判った。君達最近似てきたでしょ」
坂口「…真逆」
貴女「気色の悪い考え方は辞めろ太宰。似たとしたら国木田だ」
坂口(嗚呼、あの長髪の男性の事ですかね)
貴女「―」
セラが何かを云い掛けたが、その言葉は判別できなかった――
貴女「ん…?」
ぼんやりとセラが起き上がった
机に突っ伏して寝ていたらしい
貴女「今のは夢か…。夢の中でも殺して遣ればよかったな…」
その空間で、赤毛の男が寂しそうに微笑んだ気がした――
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今日は此処迄!
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幸祐 - 月瀬さん» 有難う御座います!指摘助かります! (2019年7月27日 15時) (レス) id: 991f5a7ceb (このIDを非表示/違反報告)
月瀬(プロフ) - いつも 楽しく読ませて頂いてます!あと、「信念」が「新年」の誤字です… (2019年7月12日 18時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幸祐 | 作成日時:2019年5月10日 20時