40* 自分とのタイムリミット ページ40
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「…お前、怖いぞ」
「えっ」
もうすっかり太陽はビルの間に身を潜め、高い天井には月と星が煌々と輝いている。
夜になったというのに、7月半の気温は私たちを汗ばませるには十分だった。
クラスメイトが教室に帰ってくる前に、屋上に来ることが出来た。
きっと高揚しているみんなには、私たち2人がいないことなんて気づいていないだろう。
「画面を見て、めいっぱいにやけて」
「そっ、そんなににやけてたかな…」
私が見ているのは、先程撮らせてもらった鉢屋の狐姿の写真。
嫌なのか、恥ずかしいのか顔を歪めて腕組みをする画面の中の狐はなんだか愛らしい。
「本物が隣にいるだろうに」
「…それとこれとは別なの」
私がそう言うと、鉢屋はふん、と鼻を鳴らし、仰向けに寝転んだ。
あのね鉢屋くん、私はさっきあなたにあんなことされたから、なんか恥ずかしくて本体を見れないんですよ。
「今日で31日目だね」
「もう1ヶ月にもなるか」
私はいい加減に携帯を閉じ、鉢屋と同じように空を見上げた。
もう、といってもあと20日もある。
が、私にとってはその20日の間で鉢屋への想いに片をつけなければいけない。
…それなのに。
それなのに、想いは募る一方だ。
こんなんで間に合うのか、私。
「はぁ…」
「ん、どうかしたか？」
おっと、ため息が漏れてしまった。
「んー、もうすぐ夏休みだなって」
明日の文化祭が終われば、すぐに夏休みに入ってしまう。
運動部のみんなはこれからが本番で、この夏は忙しくするだろう。
まぁ帰宅部の私には縁のない話だけれど。
「夏休みも屋上くるの？」
「まあそりゃ、な」
「ご苦労なことで…」
「Aは？」
「んー…私は…」
どうしようか。
あと20日で私のタイムリミットは来る。
ずっと一緒にいたら諦められるものも諦められなくなるんじゃないのか？
夏休みまで一緒にいるなんて自分の首を締めるだけだ。
「…やめとくよ」
「…そうか」
鉢屋は少しの沈黙の後、特に言及するもなく言った。
なんだ。
それだけか。
少しだけ、ほんの少しだけ止めて欲しかった私が居た。
もう一度ため息をつき、嫌悪感を吐き出した。
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* 全体に修正を加えました。
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あ - はーもう何回読んでもキュンキュンです更新待ってます！ (2021年9月12日 18時) (
レス) id: 5d4ddc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
moufu0727(プロフ) - すっっっごく素敵です！！更新されるのを楽しみにしています(^ ^) (2021年5月5日 13時) (レス) id: be7d571388 (このIDを非表示/違反報告)
はすいろ(プロフ) - 題名忘れて二年間ぐらいずっと探してました！更新待ってます！ (2020年5月16日 3時) (レス) id: 0c8b5c5d9d (このIDを非表示/違反報告)
夢少女リノ - 続きを踊りながら待機 (2017年12月12日 5時) (レス) id: 228e8ecf3d (このIDを非表示/違反報告)
Ａｏｈａ - なんか私高屋さんみたいな親友ほしい。出来れば鉢屋みたいな彼氏がほしい。続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2017年12月12日 1時) (レス) id: 99600ecbc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RITZ(リッツ) | 作成日時：2017年8月18日 2時
