キャンディー・ボーイ【ONEPIECE】 (ページ6)

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愛囁 06 ページ6

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サンジに冷たい言葉を掛けてからというもの、何となく顔を合わせられなくてサニー号の中を逃げ回る生活をしていた。

この船には現在同盟を組んでいる、ハートの海賊団のトラファルガー・ローが乗っている。

おれは何となく彼の元へと足を運んだ。
今日はアクアリウムバーで本を読んでいるらしかったが、静かに近寄ったのにすぐに気付かれてしまった。

ローは読んでいた本に栞を挟んで、此方を少し窺うように目を細める。

「A屋...何の用だ」

「...用ってほどのことじゃねェけど、ちょっと話したくなって」

邪魔して悪い、と付け加えると元々優しい性格なのか問題ないと許してくれた。
少し横に詰めたローの隣に腰かける。こうやって彼と並んでみれば、やはり本物の女と男では体格が違うのだな...と再認識させられる。

「少し、相談に乗ってほしい」

「相談...それは、おれじゃなきゃダメなのか？」

「お前医者だろ...だから」

いや、トニー屋も医者だろと言われて口を結ぶ。確かにそう言われればそれまでだけど、チョッパーにも言えないことなんだ...これは。

まだ仲間の誰にも言っていないこと。

申し訳ないけれど、同盟相手で医者のローになら何だか相談できそうな気がしたんだ

「ごめんな、利用するみたいなことして」

「いいや、構わない」

ローは一息ついて、おれの顔をじっと見た。医者だからか...はたまたその強さ故か、彼に見られるのは内面までも探られる気がして少し怖かった。

まぁ、根は本当にいい奴だから安心できるんだけど。

「お前はなぜ、自分のことを男だと言う？先天的なものじゃないだろう」

前言撤回...安心など出来やしない。

医者のローにとっては、私の嘘なんてお見通しのようで至極不思議といったようにおれを見てくる。

自分は"男"じゃない
そんなの自分が一番分かってるし、おれだって本当に男になることを望んでいる訳じゃない。

でも、おれは男じゃなきゃダメなんだ。
男じゃなきゃ...生きてちゃいけない存在なんだ。その事実は例えサンジにどれだけ口説かれて心動かされようとも変わらない

「男として生きることを選んだから...だろうな。おれが...男に生まれていさえすれば、こんな思いをしなくて済んだのに」

ローはその言葉に含まれる様々な意味を汲み取ったようにそうだな、と呟く

本当におれが男にさえ生まれていれば

苦悩することも、自分を男だと言い張ることも。
サンジにこんなに心を乱されることもなかった筈なのに。