【クロコダイル】JEWELRY【ONEPICE】 (ページ6)

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空に蒔く砂金ページ6

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砂漠とは言えど、ウチのボスに抜かりはない

七武海をクビになった彼が今、以前に増して用心深くなったのはインペルダウンに収容される前から一緒だったダズが一番良く知っているだろう

だから野宿とは言っても、今夜も私とダズが交代で見張りをすることになっていた

「しかし、砂漠の夜は極寒ですね」

昼間は灼熱のようにジリジリと太陽が照りつけていた筈が、夜になればそれこそ真冬のように寒い。恐らく、今の気温は10°前後だろう

私はいつもの黒いシャツとパンツの上から細身の黒いコートを羽織って焚き火に近寄る

しかしクロコダイルは日中も夜も相変わらず同じカッチリとした格好で、流石としか言いようがない

どこまでも気取ったスマートな男だ、全く

「星空はどこよりも綺麗だ...」

クロコダイルからは相槌も返事も何もないが、それはいつものことだ

会話が成立しないのは大体馴れているので、自分も勝手に喋る
それはクロコダイルが"黙れ"と言わない限りは勝手に続けていた

空を見上げてみれば、濃紺の上に砂金を蒔いたような星がチラチラと光っている

目を凝らさずとも、その美しさは目一杯に広がってきてこれも旅の醍醐味だなと思った

「てめェの能力を持ってしても、自然の美には勝てねェってか...？」

その偉大な美しさに圧倒されていると、焚き火で暖めていた紅茶を口につけながら笑うクロコダイルがじっ、と私を見ている

その瞳は深みのある黄金に似ていて、一瞬にして今目の前に広がっている星空の煌めきが霞んで見えた

その目に見つめられると、いつも心臓が掴まれたような気持ちになる

「どうですかね...それよりも、もっと手強いものもあるかも」

「ほう...そりゃあ随分と値の張る代物らしい。一度お目にかかりてェもんだぜ」

クハハ、と笑うクロコダイルがその黄金の瞳を少し細めた

その瞬間にも、キラリとそれが煌めいて自分の能力など自然体のものからすればちっぽけな物だなと思う

クロコダイルは私の言う手強い代物を拝むことは、決して出来ないだろう

自分の目を取り出すと言うのなら未だしも＿＿

「A、今日は早く寝ろ...砂漠はお前にはまだ早かったらしいしな」

「...明日には、歩くの上達してみせますよ」

クロコダイルの嫌味を背中に受けながら、ダズとの交代時間まで暫し休息を取る

おやすみ、と言うクロコダイルの瞳をまた垣間見て
柄にもなく今夜は良い夢が見れそうだと、その輝きを逃がさないよう、ゆっくりと目を閉じた