【クロコダイル】JEWELRY【ONEPICE】 (ページ43)

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裏路地の蛙ページ43

*

謎の少年、ラカムは犬のように私の後ろをついてきた

彼は私の胸下辺りに頭があるので、あまり周りをちょこまか動かれては何処にいったのか分からなくなる

「ラカム、お前も少しまっすぐ歩けないの」

「えっ、あっ！すみません...」

「すぐ謝んな貧弱」

そう言ってやれば、またシュンとしてスミマセン...と頭を垂れるガキ
あまり子供が近くにいるような生活を送ったことがないため、扱い方が分からない

クロコダイルならどうするだろう、と考えたところでこの子供を枯らすシーンが頭を過ったのですぐ止めた

「あっ...あの、Aさんはなぜジャーメインさんに」

「それ聞く？私もボスに言われた通りにするだけだから、よく分からないけど」

ガキ相手でも、情報を安易に話すのはご法度だ。ガキはガキでも、たまに大人を騙す悪いクソガキもいる

昔の、自分みたいな＿＿＿＿＿＿

ラカムは言えないのだと悟ったのか、それ以上今回の任務についてズケズケと聞いてくることはなかった

しかし、次は私のことについて聞いてくる
何者だとか、強いけど実は海賊なんじゃないかとか

「あの、Aさんって」

「ねぇ、アンタさっきから殺されたいわけ？」

そう言った時

てっきり顔を真っ青にして逃げ出すかと思いきや、何かしっかりとした決心を持ったような目でこちらを見てくる

その深みのあるアメジストのような目に、一瞬
初めてクロコダイルの目を見たときのような感覚に苛まれて、すぐに目を逸らした

「ぼく、海賊になりたいんです」

「はぁ？...アンタさっきの奴ら見てなかったの？海賊なんて私利私欲のために平気で人殺したりする奴らばっかりだ
そんなのに憧れてるなんて、頭おかしいんじゃない？」

クロコダイルに従っている今、私も海賊ではあるのだが＿＿＿

なんとなく"海賊"というものの存在を履き違えているようなこの子供に、ついムキになって反論してしまう

こんなに強く言い返しても、ラカムの瞳はまだ鋭い光を放っている
情報屋がいるという辺りの月夜も注がない裏路地で、私とガキの目だけが光って見つめあった

「麦わらのルフィさんに...憧れてるんです」

ボソリ、と呟かれた麦わらの名前

やはりこの子供は海賊をなめている
そう思ったときには、すでに私は地面を蹴ってラカムの喉笛を締め上げていた

静かな裏路地に、蛙が潰されたときのような声が気味悪く反響した