奇跡のヒト ページ34
*
「麦わらァァ〜〜〜！！」
地獄に響く魔王のような声＿＿＿＿
それは私たちの鼓膜をビリビリと震わせた
マゼランがどうやら黒ひげを打ち負かしたらしい。心中でざまぁみろ、と思った
「貴様は絶対に！！ここから出さんぞォオオオ！！！」
私は先頭の方を走っていたが、後ろの断末魔が次第に大きくなるのを聞いて少し下がる
一体何事かと思えば＿＿＿＿マゼランの毒がすぐそこにまで迫ってきていた
しかし、ここを抜ければLEVEL3の飢餓地獄
そこの囚人たちを解放していけば、それぞれが逃げる時間は稼げる
ここから頂上戦争へ乗り込むのだ...戦力は多いほうが良い
「しかし、ひたすら走ってるが外へ逃れる船はあるのか？」
「軍艦と監獄船は監獄を囲むように配置されている。どれか一隻奪い取れれば、処刑までにマリンフォードへ着ける！！」
ジンベエに聞いてみれば、まるで脱獄を計画していたかのような確実な情報が入ってくる
なるほど...
ここに来たときは船の中に雁字搦めに縛り付けられていたから外の様子は分からなかったけど
これでやるべきことはハッキリした
「LEVEL2への階段だ！！一気に登るぞ！」
＿＿＿＿＿＿
＿＿＿
ここは一体、なに地獄だ＿＿＿＿？
「死ねクソ猛獣！！！」
バキャッ、と私が蹴り上げたのはマンティコラ。どうやらここは猛獣地獄と呼ばれる場所らしいが
「Tバック」
「◯◯ちゃん、もしかしてお前のパンツやれば大人しくなるんじゃねェか？」
「んなことあってたまるかバカ野郎」
何せ、この猛獣共
ここの囚人たちの発した言葉を覚えているらしく、それを言いながら襲いかかってくる
しかし、マゼランも突然引いて...このフロアはあまりにも手薄だし
不可解なことが多すぎる、どこか安心出来ない
麦わらもそれに感づいたようで
「おかしいな"ドクの奴"さっきまですぐ後ろにいたのに！！」
「さっきイワさんとイナズマが下の階で立ち止まってたわ」
じゃあ、あのマゼランと...
イワンコフのあの能力は未知数だが、果たして"時間稼ぎ"になるだろうか
麦わらはその意味に気付いていないようで、今から戻ろうという
どうせあのオカマのことだ
マゼランを先に進めない様、さっき登ってきた階段は使えなくなっている筈
「ジョーダンじゃないわよーう！もしそうなら、尚更前へ進まなきゃ！！信じるのよう！！"奇跡の人"の力を！！」
私はその言葉を聞いてふはは、と笑う
奇跡の人ねェ＿＿＿＿
死なずに戻ってきたら少しは見直すかな、とあの奇妙なオカマの顔を思い出して私はまた笑った
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作者名：RIOT(別垢にいみ)
| 作成日時：2019年11月24日 23時
