MissioN ページ27
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ヘズバドゥという町に来て、もう一週間が経った
先ほど、ダズが何やらクロコダイルに命じられて隣の島の偵察へ行った
クロコダイルが何かを企んでいるのは知っていたし、今は部下である以上深入りせずに従うのが吉だ
「A、お前に頼みがある」
コーヒーを飲みながら何かの資料に目を通すクロコダイルは、少々寝不足なのかいつもは整髪剤できちんと整えられている筈の髪がはらはらと乱れている
彼が私にこういう隙を見せてくれるようになったのは、正直嬉しい
この人にここまで着いてきた理由は自らの好奇心以外にも、彼への興味というのもあったから
「ダズのような偵察ですか？」
「いいや...使いに行って貰う。そう遠くは無いが、何せ海賊や悪の掃き溜めのような場所だ。そこの情報屋に用があるんだが」
「心配して頂かなくても...一応8億の賞金首なので」
ふは、と笑ってやればクロコダイルも呆れたように笑って"しくじるなよ"と溢した
その後軽く茶を済ませてから、クロコダイルに何やら渡して欲しいらしいものとそこまでの地図を貰う
二年前から、クロコダイルにこうやって個別に色々頼まれることはあった
あるときはアイツを消しておけという暗殺依頼も、あるときは食料調達まで＿＿＿＿
どんな任務でも"しくじるなよ"という彼の言葉は私を奮い立たせた
「この距離だと...遅くて明日の朝」
「だろうな、小型電伝虫を持っておけ。何かあったらおれに連絡しろ」
「了解」
任務だというのでお気に入りの黒シャツとスーツを汚すのは癪だ
深みのある真紅のスーツ一式に着替え、細身の黒いロングコートを羽織る
戦闘になる可能性も高いと思ったので、革のグローブを填めた
「それじゃあ、行ってきます。ボス」
「あァ、くれぐれも海軍には注意しろよ」
はい、と返事をしてスイートルームの扉を閉める
今日１日はここに帰ってこられないとして...クロコダイル、果たして一人で大丈夫だろうか
私は自分の今からの比較的危険性のある任務よりも、あの寝不足そうなクロコダイルが一人でちゃんと１日過ごせるだろうかと心配になった
まぁ、考えても無駄だし、クロコダイルもそこまで子供じゃない
むしろ、大人の代表みたいな男だから大丈夫だとは思うが＿＿＿＿
"しくじるなよ"という言葉に、いつもの威圧感と絶対は感じられた
兎に角自分が迅速に任務を片付けて帰ればいい話か、とそこで思考を遮断しエレベーターホールへ向かう
チン、と音をたてて止まったそれに私は速やかに乗り込んだ
The mission starts.
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作者名：RIOT(別垢にいみ)
| 作成日時：2019年11月24日 23時
