【クロコダイル】JEWELRY【ONEPICE】 (ページ19)

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ファイア・オパールページ19

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あれから、クロコダイルと会話することがつまらない監獄生活の中に花を添えた

彼が統治していたアラバスタの話は聞くだけで面白かったし、彼の飼っていたペットのバナナワニの話になれば俄然盛り上がった

相手に話をさせるばかりでは何なので、自分も話せる範囲では渡り歩いて来た場所の話や

今まで騙して潰してきた海賊の話なんかをして一日を過ごした

「アンタの話は聞いてて飽きないや、Mr.クロコダイル」

「クハハハ、お嬢さんこそ。若ェ歳のわりには随分とハリのある人生を送っているらしい」

おれも聞いてて飽きねェよ、とクロコダイルが笑ったのを見て何故か少し嬉しくなったのも事実
クロコダイルの話を聞いて、彼の知らない部分が知れていくことが楽しかったのもまた事実

そんな風にLEVEL6の地下監獄での生活を謳歌していれば、ある日隣の牢が開いた

中から出てきたのは、何度か壁越しに言葉を交わしたことがあるポートガス・D・エース

通称、火拳＿＿＿＿
白ひげ海賊団の２番隊隊長を務める男だ

本日は彼の公開処刑が行われる日

マゼランに連行されながら、私の牢の前を通る火拳は死を恐れるようなこともせず
ただ、自分を救いにこのインペルダウンに乗り込んで来た弟の存在を心配しているようだった

「火拳、話し相手がいなくなると思うと寂しいよ」

「...アンタ」

私の言葉に一瞬だけ歩みを止めた火拳がこちらを振り返る。私は彼のことをあまり知らないが、話し相手としては不足はなかった

楽しい話も聞かせてもらったし、これから惜しい男を亡くすのだなと思う

「＿＿＿＿地獄でも元気でな」

「...あァ...もし此所に弟が来たら...よろしく頼む」

ひらり、と手を上げれば火拳は怒るのでもなく、ただただ心配する話にも沢山聞かされた弟のことを私に託してくる

私は弟クンのことはコイツの話で聞いていた分にしか知らないし、私が面倒を見る筋合いもないと思ったが＿＿＿＿

今から死に行く海賊の背中くらい、真面目に見送ってやろうと"気が向いたらな"と笑ってやった

「アンタらしいや...」

ふ、と溢された笑みは此方も痛々しくなるような寂しさを含んでいた

短期間でも同じ獄中で過ごした者同士
せめてもの餞別として私は火拳の背中が見えなくなるまでそれを見送った

彼は恐らく、本物の地獄に行っても持ち前の明るさで楽しくやっていけることだろう