【クロコダイル】JEWELRY【ONEPICE】 (ページ18)

今日:26 hit、昨日:4 hit、合計:91,494 hit

ゴールデン・シガレットページ18

*

あのときは感極まって、溢れ出てきた白い雫を止めることが出来なかった

クロコダイルの何気ない言葉が可笑しかったのか＿＿＿＿

いや、それは多分違う

ただ、今の私のボスである彼が、私にあんなことを言うメリットがあったのかと考えるがそれは分からない

分からない、クロコダイルの考えていることなんて...

彼に突き返されたパールも手持ち無沙汰になって、私は暇をしていそうなダズに昼飯でも食べに行こうかと誘った

クロコダイルのことなら、ダズに聞くのが一番だ。同じ部下という立場だが、クロコダイルは人を信用しないと言っていた筈なのに彼だけは一目置いていた

それから言わせれば、私なんてせいぜいまだ利用価値のある駒
だから、先輩部下のダズには未だに頭が上がらないのだ

「それはいいが、あの人は？」

「一応聞いてくるけど...」

「けど、何だ＿＿＿＿」

何せさっきクロコダイルは私から逃げるように部屋へ帰って行ったのだから、話しかけ辛い

牢獄越しには毎日話していたというのに、部下になるとどうにもそれが気恥ずかしくなる

ダズは何かを察したのか、はぁと大きく息を吐いて、おれが行ってくるとクロコダイルの部屋の方へ消えた

ダズは口数は少ないが、インペルダウンからここまで一緒に来た縁もあってか話の分かる奴だと思っていた

現に、クロコダイルの気持ちがよく分からないときはダズが代弁してくれたりする

そういう様子を見ると、彼が言っていた砂漠の王時代のクロコダイルとはまた少し違って
"人を信頼する"ということを、少しは覚えたのだろうかと思った

「二人で行ってこいだとよ」

「どこ行く？今はお酒が飲みたい」

私は黒地のシャツにパンツだけのスタイルで、さっきのパールをパンツのポケットに
愛用のタバコを胸ポケットに突っ込んで、部屋を出ていくダズを追いかけた

ダズはそんな私をチラリ、と一瞥してからそれ...と指を指してくる

それは胸元の膨らみに一点を絞っていて

「何...？タバコのこと？」

「いつも頻りに吸っているが...何の香りだ？」

ダズは喫煙者ではないが、周りを喫煙者二人に挟まれていれば興味が湧くというものなのだろう

私はふはは、と笑いながら口の端に金地の吸い口を咥えて火をつける
ぼう、と灯りが灯れば自分の好きなフレーバーが口腔内一杯に広がった

「また、思い出話に付き合ってくれたら教えてあげる」

ふはは、とさっきの涙なんか嘘みたいに機嫌良く笑って紫煙を吐き出せば

ダズは困ったように眉を少し下げてから、承知したと呟いた