怖いもの ページ10
*
「じゃあ、また明日もくるからね」
「おー、じゃあな。お前もなクソガキ」
「ばいばい...食中毒野郎」
「あァ！？」
フン、と鼻を鳴らすローくんにロシーは目を吊り上げて怒る。私は苦笑いしながら病室の扉を静かに閉めた。さっきまで煩かったせいか、急に辺りが静かになったように感じて、少し寂しい
「ローくん、病室まで送るよ」
「帰りたくねェ」
「でも、私ももう帰るけど...」
ドフィが帰ってくるまでに晩御飯作らないとだし、とスマホを見るAのスカートの裾をまた握る。何ならこのまま、おれも連れて帰って欲しいと思った。
どうせここに居ても疎まれるだけだ。
それなら、別に嫌いじゃないと思ったコイツの行くところへ行きたい
Aは困ったように眉を下げると、頑なに俯いていたおれの頭に手を乗せる
「ローくん、なんで病院嫌いなの？」
「別に病院が嫌いなわけじゃねェ、ココが嫌なだけだ」
諭すように聞いてきたAに、おれは自分の気持ちを淡々と告げる。おれは医者の息子だし、実家は病院だったせいもあって別に嫌いというわけじゃない。
嫌というか怖いのは、おれの手の痣や病気を見て"バケモノ"扱いしてくる人間のほうだ。それは口が裂けても言わないけれど。
「じゃあ、一日中病気を歩き回ってるの？」
「まぁ、看護師とか医者に捕まるまでな」
Aに再び手を引かれながら、さっきコイツと鉢合わせした場所まで戻ってきた。まだ会って二回目のコイツが、もう離れていくのだと思うとなぜか手を離してやりたくなくなった。
「ローくん、また明日も来るから今日は病室に帰ろうよ」
「別におれは来てくれなんて頼んでねェ」
「え〜〜、めちゃめちゃワガママだね」
嫌いになったか、と思っていればAは笑いながらおれの顔を覗き込んでくる。私も昔ワガママな子供でドフィとロシーを困らせたらしいんだよね、と言う
なんか、コイツと居ると変に考えが空回りして調子が狂う
「じゃあさ、明日いいもの持ってきてあげるからさ病室戻ろう」
「いいもの...？そんなのに釣られるほどおれは子供じゃねェ、ばかにすんな」
「はいはい」
でも、多分ローくん喜ぶよ
そう呟いたAの内容には些か疑問を感じたが、おれはちょっと期待してやろうとベポを顔の前にやってしゃべる。照れ臭くて赤くなった顔を隠すためだ
「＿＿＿約束だぞ」
「...うん、約束する」
結局、Aは病室までおれを送ってじゃあねと言って帰って行った
静かになった病室で一人、おれはAの消えたドアを寂しく見つめていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RIOT(プロフ) - さばちゃん@かんづめさん» コメントありがとうございます。更新の励みになります！ (2019年12月10日 16時) (
レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
さばちゃん@かんづめ(プロフ) - ショタのローが可愛くて好きです！！更新楽しみにしてます！ (2019年12月3日 22時) (レス) id: 913017553b (このIDを非表示/違反報告)
RIOT(プロフ) - 最新型のうさぎさん» コメントありがとうございます！これからまだ色んなキャラを出していこうと思っているので、楽しみにして貰えると嬉しいです！ (2019年11月14日 21時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
最新型のうさぎ - すっごい面白いです！！！尊い！！！推しが！！！たくさん！！！（語彙力崩壊）毎日覗きに来ますね！！！！！！ (2019年11月14日 16時) (レス) id: e04dff07ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：RIOT(別垢にいみ)
| 作成日時：2019年11月13日 12時
