白い思い出 ページ9
*
ロシナンテという男はAと呼ばれた女とよく似ていた
兄妹だからかもしれないが、昨日の悪そうな兄貴とは違って雰囲気とか子供好きそうな所とかが似ている。
逆に昨日の兄貴は本当にコイツらの兄貴なのか、と思うほど悪そうな雰囲気が駄々もれだったのだが。
「あ、はいロシー。ジュース買ったんだけど飲める？」
「あぁ...まだ飲めるか分かんねェけど貰っとく。これ好きなんだよな」
Aが手渡したのは昨日おれが買ったのと同じ缶ジュース。これが好きだなんて、おこちゃまなのはAよりも、こっちの兄貴の方だったらしい。
それを言ってやれば、男は黙れクソガキと言ってきた。これがコイツの本性か。
「ローくんはさ、なんで病院の中うろちょろしてるの？」
昨日も先生に怒られてたでしょ、とAはおれの後ろから顔を覗かせる
なんでこの女は会ったばかりのおれに、ここまで興味を抱くのか不思議だったけれど満更でもなく素直に理由を答える。
「おれの趣味」
「徘徊するのが？なんかおじいちゃんみたいだね」
「徘徊じゃねェ、放浪だ」
いつもコイツと一緒に病院の中を回るんだ、とおれは腕に抱いたベポをAに見せる。
Aはあ、と言うとおれと目線を合わせるようにしゃがんだ
「これ、ベポじゃん」
「知ってんのか」
「水族館のやつでしょ、人気者だよね」
可愛い、と言いながらベポを撫でるAの手はおれみたいに痣もなくて白くて細い。
何だか自分の斑点が走ったような手が恥ずかしくなって、ベポを撫でようとしていたおれは咄嗟に手を引っ込めた
ロシナンテという男には、それがバレたような気がしたが、無視だ。
「水族館で買ったの？」
「昔...父様と母様に連れていって貰った時に買った」
そう呟いた声は、自分でも悲しそうに聞こえて。もうこの悲しみからは抜け出した筈だったのに、とひどく自分が愚かだと感じる。
Aはゆっくりと、ベポを撫でたと思ったらおれの頬へと手を伸ばしてきた
「ふふ、私も行ったことあるよこの水族館」
「懐かしいな〜、まだ父上も母上も生きてたときに家族で行ったよな」
コイツらにも、親がいないのか＿＿＿＿
優しく頬を伝うのは、Aの指。それがおれの顔に広がった痣の上も滑っていく
おれはどうして良いか分からなくて、昔話をするAの声に耳を傾けながらベポの頭へと顔を埋めた
おれは久しぶりに、涙が出そうになった
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RIOT(プロフ) - さばちゃん@かんづめさん» コメントありがとうございます。更新の励みになります！ (2019年12月10日 16時) (
レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
さばちゃん@かんづめ(プロフ) - ショタのローが可愛くて好きです！！更新楽しみにしてます！ (2019年12月3日 22時) (レス) id: 913017553b (このIDを非表示/違反報告)
RIOT(プロフ) - 最新型のうさぎさん» コメントありがとうございます！これからまだ色んなキャラを出していこうと思っているので、楽しみにして貰えると嬉しいです！ (2019年11月14日 21時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
最新型のうさぎ - すっごい面白いです！！！尊い！！！推しが！！！たくさん！！！（語彙力崩壊）毎日覗きに来ますね！！！！！！ (2019年11月14日 16時) (レス) id: e04dff07ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RIOT(別垢にいみ)
| 作成日時：2019年11月13日 12時
