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バカばっかり ページ18

*



おれは枕元にベポと桃色のベポを並べて、二つに抱きついた。桃色のベポからはほんわりと甘い、花のような香りがする

...Aの匂いだ



その香りは昔、母様に抱かれていたときに嗅いだ肩口の優しい香りに似ていて___
不意に目尻が熱くなって、水のようなものが白い頬を伝った



自分でも、もう長くないのは分かっている

おれは医者の息子だ、おれがそう判断したのだから間違いはない



おれは"珀鉛病"という、まだ数件しか症例のない謎の難病で___
勿論、治療法が見つかってないということは、完治したやつもまだいない

うつる病気ではないけれど、おれの周りにいた人間はおれを病原体扱いしては、この病院に閉じ込めた



医者たちも看護師もうつらない病だと知っていながら、なぜかおれを病室から出さないように努めた

それも毎回無駄な努力に終わっている




「バカだよな...どいつもこいつも」




本当にバカだ____


おれをここに閉じ込めようとするクソ医者も、病室に来る度に嫌みを溢していく看護師も

そんなおれに優しくしてきたAも
クソガキ呼ばわりしてきた癖に手を差し伸べてきたコラソンも



それに期待して、あわよくば助けてほしいと思った自分も



皆、皆、バカばっかりだ____

一人で憎まれ口を叩いてみても、次から次に流れていくのは涙だけ。暖かい液体はおれの顔を伝って枕を濡らした



おれはもう少しで死ぬけれど、最後にあんな奴らに会えて良かったと思う。親を亡くして初めて、自分を真っ直ぐ見てくれた人間に出会った

でも、欲張りを言っていいのなら


もっとアイツらと時間を過ごしたい
おれが死ぬまででいいから、コラソンは明日退院するけれど...




"ローくん、病気と戦うのは辛いことかもしれないけど...私は応援するよ。ローくんが迷惑じゃないなら毎日お見舞いにもくる"




ふと、今日言われたAの言葉が頭を過る。病気と戦う気はもう失せたけど...見舞いには来てほしい


やっぱり、一人で死ぬのは怖い。死ぬのが怖いんじゃなくて、多分一人が嫌なんだ

あーあ、アイツらを知ってしまわなければ、こんなことにはならなかったのに




「バカ...Aのバカ野郎」




おれはグスン、と鼻を啜ってから暖かい布団へ体を滑り込ませた。懐に二体のベポを抱けば、優しい香りがおれを包み込む



何だか母様に包まれているような気がして___

懐かしい感覚に包まれながら眠りに落ちた

かわいそう→←絶品シチュー



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RIOT(プロフ) - さばちゃん@かんづめさん» コメントありがとうございます。更新の励みになります! (2019年12月10日 16時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
さばちゃん@かんづめ(プロフ) - ショタのローが可愛くて好きです!!更新楽しみにしてます! (2019年12月3日 22時) (レス) id: 913017553b (このIDを非表示/違反報告)
RIOT(プロフ) - 最新型のうさぎさん» コメントありがとうございます!これからまだ色んなキャラを出していこうと思っているので、楽しみにして貰えると嬉しいです! (2019年11月14日 21時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
最新型のうさぎ - すっごい面白いです!!!尊い!!!推しが!!!たくさん!!!(語彙力崩壊)毎日覗きに来ますね!!!!!! (2019年11月14日 16時) (レス) id: e04dff07ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RIOT(別垢にいみ) | 作成日時:2019年11月13日 12時

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