"ヤマ" ページ46
*
それから、このAという女のガキの体調が急変したのはすぐだった
ビクビク、と痙攣する体はストレッチャーに乗せられて縛られている
「船長、コイツの血液型S型のRH-ですよ...！！あんまり出血し過ぎると、輸血パックが＿＿＿＿」
血液検査を行ったペンギンが、Aの赤黒い血液の試験管を片手に走ってくる
よりによって、珍しいRH-とは...ツイてない
だがそんなことでコイツ1人の命、諦めるつもりも毛頭ねェ
"輸血パック"を使わなければいい話だ
「出血は最低限に抑える、コイツは死なせねェ...おれに殴りかかってくるようなガキだ、回復すればウチのクルーにする！
今夜...絶対に持ちこたえさせるぞ！！」
「おォーーー！！」
おれたちは夜通し手術をし、細かく全臓器の運動異常が無いかを確認して
クルー総出でコイツを治療した
しかし、やはりヤマだというおれの考えは当たったらしく
＿＿＿＿＿一度は、完全に心臓も止まった
心臓マッサージで心機能が一度復活してからは、やっとヤマを越えたというように体調が落ち着いていった
今まで見てきた患者の中で、一番冷や汗をかいた気がする
「やっと、安定してきたか...」
「一時はどうなることかと思ったぜ...！」
Aは静かに寝息をたてながらベッドに横たわっている
すーすー、と寝息が聞こえるので何とか、落ち着いたようだ
「船長...昼間また、島に行ってみません？」
「あぁ...コイツの家だったか、ガキがいるっつったな」
「ソイツらも、感染してるんですかね」
「恐らくな」
これからクルーにしようと思うこのガキに
少しでも踏ん切りをつけさせるためにも、その家に昼過ぎくらいに寄ってみるか
他のガキ共が治るまでこの島を出ない、そもそも着いていく気はない
そう言われそうだというのは、百も承知だが
おれは医者である上に、海賊だ
欲しいモンを奪って何が悪い？
「...まだガキだな」
13だという、あの瓦礫の街で病に苦しむコイツは
どうしようもなく三年前の病に苦しむおれを彷彿とさせて
"ロー、愛してるぜ"
柄にもなく、あの人と同じように誰かに尽くしてやるのも悪くないと
そう思わせるのに十分だった
「コラさん...」
おれは細々と呼吸を繰り返すAの頭を撫でた
あの人のように、誰かを愛することがこれからあるのだろうかと
考えながら、それが後のコイツになるなんてまだ考えてもいなかったおれは
あの日の、あの人の笑顔を思い浮かべて
機械音の響く病室で静かに笑った
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yasuno(プロフ) - ツイッターで発見して読まして頂いてます！まだ途中ですが、その先楽しみにドキドキしながら読ませていただいてます！素敵な作品をありがとうございます！大好きでず！ (2019年10月16日 20時) (
レス) id: 92997ef537 (このIDを非表示/違反報告)
misa(プロフ) - いつも読ませていただいていますが、めちゃくちゃ最高です!ストーリーとかに物凄くきゅんとさせられます!!!（心が救われます ……！） この小説を読むことが毎日の楽しみです！これからも頑張ってください!!応援してます!! (2019年9月3日 20時) (レス) id: 693ae38e17 (このIDを非表示/違反報告)
RIOT(プロフ) - スイートポテト。さん» 嬉しいコメントありがとうございます！作品を楽しんで読んで頂いて嬉しいです！非常に更新の糧になります...！ (2019年9月2日 21時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
スイートポテト。(プロフ) - 初めまして！キャラがそのままでほんとにローがかっこよく、夢主ちゃんとの絡みが萌えるし尊いしで、ほんと最高です！！ありがとうございます…！！！これからも楽しみにしてます！更新がんばってください！！ (2019年9月2日 20時) (レス) id: afe0367241 (このIDを非表示/違反報告)
RIOT(プロフ) - 佐乃さん» コメントありがとうございます、他作品も読んでいただいて嬉しいです！！更新がんばります〜！ (2019年9月1日 20時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RIOT(別垢にいみ)
| 作成日時：2019年8月21日 22時
