××周目 ページ31
*
「あの...手紙をくれたのは」
あれから長い時間がかかり、やっとここへ来ることができた
＿＿＿＿新世界のとある島
綺麗な花畑のなかを進んでいくと、シルクハットに黒のロングコートを羽織った人が見える
エースの墓の前に座って、なにかを話していたその人は私の声に反応してゆっくりと立ち上がった
「墓参りですか？...エースの知り合いで？」
「......え」
緩やかなウェーブのかかった金髪に片目には火傷の痛々しい痕
元々大きな目は私の姿を捉えると大きく見開かれた
似てる＿＿＿私たちの大切な
「＿＿＿＿久しぶり」
「ひ...久しぶりって」
へへへ、と照れ笑いする彼は昔の面影を残したままで。そう、この朗らかな笑顔を私は知ってる
でも、そんな訳はない
だって、彼はエースよりも前に...
私達が子供のころに、天竜人によって＿＿＿＿
「...うそだよ...そんな」
「嘘じゃないよ、A。おれの大切な姉貴」
私は駆け出した＿＿＿＿
彼のからだにしがみついて、その存在を確かめる
生きてる...死んでたと思った弟が
サボくんが、生きてる
「サぁボくん〜〜〜〜！！！」
「A...寂しい思いをさせてゴメン。生きててくれて、ありがとう」
「生"き"ででぐれで嬉"じいの"ば私"の方だよ"！！」
「綺麗になったなぁ、A」
涙が止まらない私を、サボくんは昔よりも成長した体で支えてくれた
それから、二人でエースのお墓の前に座る
「エース、やっとまた会えたね...兄弟盃も持ってきたんだよ」
「お、懐かしいなぁ！エース！！」
エースのお墓の前に置いた三つの兄弟盃
サボくんがその隣に少し大きめの盃を二つ置いた
「サボくん、これは...？」
「ん？夫婦盃だよ、二人のな」
サボくんはいつかダダンさんから盗んだという、お酒を小さな三つの盃と
大きな漆塗りの盃にトクトク、と注いだ
「エース、迎えに来たよ」
大きく風が吹いて、お墓に飾ってあるエースの帽子が大きく揺れる
夫婦盃の一つを手にとって、喉へと流していく
"A"
「...エース？」
"迎えに来てくれてありがとな"
「エース...？！いるの？！」
どこからともなく聞こえる声は紛れもないエースの声
キョロキョロ、と見渡してもエースの姿は見えない
＿＿＿エース、出てきてよ...
"愛してる"
途端、イタズラっ子のように微笑んだエースが私の頬を大きな手で包み込むと
優しく、唇にキスをした
「エースったら」
「あ...夫婦盃の中身、減ってる」
fin
終わり
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りの - 本当に最高の作品でした😭もしよろしければ、「もしエースが死なずに世界を一周して帰ってきたら」の話も作って欲しいです！ (2022年8月9日 23時) (
レス) @page31 id: a323a51480 (このIDを非表示/違反報告)
お布団 - マジで泣きました、ほんとにこんなに素敵な作品を読ませていただきありがとうございます(´TωT｀)涙が止まりません(´；ω；｀) (2022年4月18日 22時) (レス) @page31 id: 69ffeb4779 (このIDを非表示/違反報告)
chocolate123112(プロフ) - コメント失礼致します。私占いツク読んで初めて泣きました(；；)素敵な作品ありがとうございます。これは書籍化されるべきだなと思いました！^^ (2019年9月12日 7時) (レス) id: d1b3e3b53e (このIDを非表示/違反報告)
ミケ(プロフ) - 番外編ありがとうございます！涙ぐみました。手紙…やばいですね。この後を想像するのもすごく楽しいです！番外編最高！！！ (2019年9月11日 2時) (レス) id: 5ea4295e7e (このIDを非表示/違反報告)
ミケ(プロフ) - コメント失礼します。素敵な作品をありがとうございました。とても感動しました。要望ですが、後日談や番外編などが読みたいです！例えばお墓参りとか……ご検討の程宜しくお願い致します！！本当にありがとうございました！！！ (2019年9月7日 23時) (レス) id: 5ea4295e7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RIOT(別垢にいみ)
| 作成日時：2019年8月24日 19時
