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『ん、……ねむ、』
若干ズキズキとする頭。
全く働こうとしないそれに心の中で喝を入れて、まだ眠り気味の体を起こす。
まだ朝の五時。
寝室からは微かに寝息が聞こえる。
実紅はまだ起きてなさそう。
『シャワー浴びなきゃ…』
ゆうべ遅くまで飲んでたせいで、服もろくに着替えずそのまま寝てしまった。
投げ捨ててあったコートをハンガーにかけ、洗面所で顔を洗う。
冷たい水とシャワーの温かいお湯のおかげでいくらか目が覚めた。
まだ濡れている髪を軽くタオルで拭き取って、朝食の準備に取りかかる。
実紅も朝は食べない方だから、パンでいいかな。
『あ、おはよ。ごめんね。うるさくて』
「ううん、おかげで目覚めたから大丈夫。
十分くらいシャワー借りるね」
『時間なんて気にしなくていいよ。
お風呂沸かそうか?』
「大丈夫。シャワー浴びれるだけでも充分だから」
『そっか。朝食トーストでもいい?』
「なんでもいいよー」
まだ目が開ききっていない実紅を見送って、あれこれ冷蔵庫の中を漁る。
目に入ったコーンスープをかき混ぜながら、食パンをオーブントースターにセットする。
朝食は食べる気が起きないから用意も大変だ。
「わあ、美味しそう!」
『なに一つ私が作ったわけじゃないけどね。
ていうかもう終わったの?』
「匂いにつられて早めに出てきた」
『ふふっ、食べるの好きだもんね』
「美味しいもの食べるのが一番のストレス解消になるんですうー」
トーストをお皿に乗せて目の前に置くと目を輝かせる実紅に、思わず笑う。
反応が可愛い。
「いただきます!」
『いただきます』
トーストもヨーグルトもコーンスープも。
美味しそうに食べる実紅を見たら、いつもは湧かない食欲も朝から湧いてくる。
こういうところが、実紅の持つ力。
『ん、そうだ、これ』
「ん?あ!ごめん、昨日もしかして払ってくれた?
起こしてくれれば払ったのに…」
『いいよ。潰させた私にも非はあるし。
じゃあ、今度また連れてってくれたら嬉しい』
「もう絶対連れてく。なんなら今日行こうか?」
『いつでもいいよ』
取り出したレシートを見てそう言い出した実紅。
バレちゃった。
まあでもこれはこれで変に気を遣わなくていいか。
『でさ、』
不器用な文字に、また胸が高鳴った。
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