常夏《赤》 (ページ42)

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#42 ページ42

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『そういえば、なんで会社の前に居たんですか？』

「んー？会いたかったから」

『なっ、』

「会いたいだけで会いに行ったらあかん？」

『あかんくは、ない、ですけど、』

ふと思った疑問を、ソファーに座りながらぶつけてみる。

甘くて、甘すぎて。
溶けてしまいそうなくらい、甘い大毅くん。

こんな一面、知らなかった。

「なあ」

『はい？』

「好き」

『…え、』

「大好き」

『ちょ、あの、大毅くん？』

「Aは？」

うるうると目を潤ませてそんなこと聞かれたら。

『す、んっ、』

「…言わせるわけないやん」

答えようと思ったのに、口を塞がれて。

狼のような目をした大毅くんに、胸の奥が、キュンと疼く。

ソファーにかかる二人分の重さ。

大毅くんが、背もたれに手をつく。
近すぎて心臓の音が聞こえそうで怖い。

『だ、いきく、っ、』

抱きしめられて、また口づけを交わして。

クラクラとする頭が、上手く回らない。

甘すぎて、胸が苦しくて。
でも離れたくない。大毅くんを感じていたい。

首に回した腕。

頬を滑る手がくすぐったい。

「はあ、生き地獄」

『へ？』

「我慢する。やからキスは許して」

『え、あ、んっ、』

大毅くんの前髪が額にかかる。

くすぐったくて、でもなんだか嬉しくて。

ふわふわとした気分に酔いしれる。

「んは、顔真っ赤」

『…大毅くんのせいだもん』

「ご飯食べた？」

『あ、まだ』

「俺作るからお風呂入ってき」

『いいの？本当に？』

「オムライスでええならええよ」

私の好み、覚えてるんだ。

それだけで嬉しさを通り越して、幸せで。

『ありがとう！』

「んわっ、」

ぎゅっと抱きついて、お礼を言った。