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#8 ページ8

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「A、終わった?」

『ん?』

「その様子だと終わってるね。
はい早く準備して!」

『なに。まさか本当に行く気?』

「え、行かないの?」

『え、行くの?』





まとめ終わった書類を付箋で分けていると、なにやら聞こえてくるワクワクした声。

なんだか少し張り切った様子の実紅。


勘ぐってはいたけど、まさか本当に行くとは…

実紅さん、まじですか。今からですか。
ちょっとお洒落してきちゃってる私も私だよ…





「行きたくない?」

『いや、そういうわけじゃないけど…』

「行こうよ。私もあの人に会いたいしさ、ね?」

『じゃあ…行こうかな』

「やったー!」





スカートをひらひらと揺らして喜ぶ実紅に、やっぱり自信がなくなってくる。

絶対に私宛じゃないよね、あれ。


渡そうとして突き返された例の紙は、また、コートのポケットの中に逆戻りしている。

名前も知らないのあの人の笑顔が浮かんで、払拭するように慌てて頭を振った。





「ふっふっふ、恋はすぐそこだね?」

『もう、違うってば』





ニヤニヤと笑う実紅を横目に、頭の中はもうあの人で埋め尽くされていく。

おかしいな。
会いたいだなんて思っちゃってる。


お店までの道のりが、なんだか短く感じた。





「いらっしゃいませ」

「二人でお願いします!」

「かしこまりました。こちらへどうぞ」





ああ、目がハートになってるよ…

実紅ー、帰ってきてー。





「やっぱりかっこいい…」

『もう完全に落ちてるね』

「だって偏見なしにかっこよくない?あの人。
まあ、Aにはもう王子がいるみたいだけど!」

『王子じゃないから。
でも確かに綺麗な顔してるね、あの店員さん』

「やっぱ?惚れるのも無理ないよね〜」

『それとこれとはまた別問題』





他愛もない話をしながらも、私の視線はお店の奥へといってしまう。


あの人、厨房なのかな。
それとも今日はいないってだけ?

ああ、だめだ。気になってもやもやする。





「連絡してみれば?」

『っわ、びっくりした…
それ身乗り出してまで言うこと?』

「いいじゃん、Aの恋を応援したいの!」

『応援するような恋じゃないし。
…ていうか恋でもないから!別に!』

「ふーん?」





椅子の背もたれに掛かるコート。

でもやっぱり気になってポケットの中からレシートを取り出す。


それを見た実紅はニヤニヤ顔だけど、もうなんか、別にどうでもよくなってきた。

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設定タグ:ジャニーズWEST , 重岡大毅 , 中間淳太   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:凜憧 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月9日 17時

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