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『…あ、の』
「送ってく」
『いいですよ、もう遅いですし、部長が…』
「アホか。遅いから送ってくんや」
暗い夜空。静かなオフィス。
呼ばれたのが仕事終わりでよかった。
泣き疲れて、そのまま仕事なんてできそうにない。
『で、でも、』
「A」
『え…』
なんで、なんでいるの。
探していた甘い声。大好きな人。
振り返った瞬間、涙がこぼれそうになる。
『しげおか、さん…』
「はい。重岡さんです」
にひっと笑った重岡さん。
ああ、昨日会ったばかりなのに。
やっぱり、やっぱり好き。大好き。
本当はずっと離れたくない。
ずっとそばにいてほしい。
つらいとき、隣にいてくれるのは、重岡さんがいい。
『っ、ば、か』
「ふはっ、なんでやねん」
『重岡さんの、あほ、』
「え、なんでなん…」
部長、ごめんなさい。
あれだけ良くしてもらったのに、それでも、私の隣は重岡さんがいいだなんて。
失礼かもしれない。いや、失礼だけど。
もう何もかも一人で背負うことは、したくない。
「俺、帰った方がええな」
だからお願いします。
そんな、悲しそうな顔しないで。
『…すみません』
「ええよ。また明日な」
『はい。おやすみなさい』
苦しそうなあの表情。
今まで何度も見てきた部長のその顔はやっぱりどこか寂しそうな表情で。
「A」
『は、はい』
「お疲れさま」
いつもなら、気にしてる。
でも今は、今だけは…
『重岡さん』
「ん?」
『…少しだけ、お時間いいですか?』
「ええよ。公園入る?」
『あ、歩きながらで大丈夫です』
「ははっ、それ時間とるって言わへんやろ」
今だけは、目の前の幸せを感じていたい。
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