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『お知り合いなんですね、重岡さんと』
「まあ、知り合い言うか家族で仲良うしてたから。
俺にとっては二人目の弟みたいな感じやな」
そう言う部長の目は、すごく優しい。
きっと、重岡さんのこと大好きなんだ。
そうだよね。
嫌われる要素なんて彼にはなに一つないもん。
『なんか、羨ましいです。そういう関係。
私には兄弟も幼馴染みもいないから』
一人っ子って中々つらい。
それにプラスして両親が共働きっていうのも。
家に帰って家族がいない寂しさも、おかえりの一言が返ってこない虚しさも。
もう慣れたからいいものの、昔は嫌だった。
「ちゃんと育てられたんやな」
『え?』
「兄弟がおるとさ、自然と身につくものがあるねん。
でも黒瀬にもそれが身についてるからさ」
『…そう、ですかね』
「おん。黒瀬の家族はええ人たちやな」
じんわりとその言葉が染みていく。
学生の頃の私に教えてあげたいな。
寂しさを埋めてくれるような言葉をくれる優しい人が将来の君の上司だよって。
『私の上司も、いい人ですよ』
「そ?よかった」
ニコッと笑った彼の笑顔は、きっと誰よりも綺麗だ。
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