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『え、それ、本当ですか?』
「おん。ほんまやで。
黒瀬の作った資料が上層部の目に留まってん。
今ちょうど新しい会社と契約結んでるんやけどそことやってみないかって」
『私でいいなら、是非やらせてください!』
「よかった。
ほな早速やけど、これから打ち合わせあるから来て」
『はい!』
ニヤけそうな頬を抑えて、準備してき、と笑う部長に頷く。
あれから数週間。
大きな仕事が舞い込んできた。
あの資料、真面目に作っておいてよかった。
私も企画書作れるんだ…
「あれ、Aどこ行くの?」
『前の資料、上に通ったんだ。
新しいところ任せてもらえるかもしれない』
「え、本当に?やったじゃん!」
『うん!』
「じゃあ今から打ち合わせ?頑張ってね」
『ありがとう。行ってくる』
こういうときだって僻まずに応援してくれる実紅は、本当にいい子。
いい子っていうか、優しい人。
ちょっと飲み癖は悪いけど。連日大変だった。
でもそれもご愛嬌だと受け止めさせるのは実紅だけ。
あまり大きい声でも言えないせいでコソコソとまるで内緒話みたいに小さい声。
それでも、親友からの応援は心に染みる。
『すみません、お待たせしました』
「ええよ。ほな行こか」
初めてだからって失敗は許されない。
そう思うと、緊張が増す。
でも、それより。
初めて任せてもらえた仕事のこと、早く重岡さんに伝えたい。
「これから打ち合わせる会社はスポーツメーカーや。
まだ新しいけどな」
『スポーツ、ですか』
「せやで。やから多分服になると思うねん」
『その類の資料を作ったこともない私が受け持つっていろいろと大丈夫なんですかね…』
「黒瀬なら大丈夫。あの資料もようできとったし。
自分らしくが一番大事やから。な?」
『ふふっ、部長は褒め上手ですね。頑張ります』
部長の笑顔につられて、段々と緊張が解れていく。
年上の人の経験から来る説得力って凄いな。
「失礼します」
『失礼します』
ドアを開けた先。
広がる現実的な現場とは反比例して気持ちは仕事への活力でいっぱいだった。
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