「緑」夜空の星に願いを込めて。 ページ5
Main __ K.Tomohiro
『好き』
誰もいない家の前。
無人をいいことに呟いてみる。
言えたら、楽なのかな。
「なーにしてるん」
ぱっと横を見れば、今一番会いたかった人。
ふわふわと笑いながら少し派手な髪を靡かせる彼は、多分可愛い。
私が女をやめたくなるくらい可愛くて、自分を好きにさせるのが上手い人。
『星見てた』
少し熱くなった目頭。
少し落ち着ける夜は好き。
視線を夜空に戻して、彼が隣に来るのを感じていた。
「風邪引かんでな」
『智が看病してくれるじゃん』
「甘えすぎやで？」
『そこは甘えさせてよ』
テンポのいい会話すら、安心する。
どこが好きなのかと聞かれたら、私はきっと答えられない。
明確な理由もなければ、恋という確証もない。
でも、好きであることに変わりはなくて。
「あ。流れ星」
隣の声が少し弾む。
やっぱり、彼は可愛いんだと思う。
迷信は、信じない方。
だけど今なら、三回くらいは願い事を唱えてもいいと思った。
『深夜くらいだとほぼ毎日一つは流れるよ』
何気なく言ってみると案の定驚く君。
それと同時に夜にこうしていることを心配される。
天体観測ってとこまでは行かないけど、楽しいから。
つい時間を忘れて星を眺めてしまう。
それに、願い事も。
「Aは物知りよな」
『そう？』
「逆に分からんことあるん？」
分からないことなんて沢山ある。
智の気持ちは、私には分からない。
ただの幼馴染みと思われているなら、それでいい。
好きだと思ってくれているなら、もっと嬉しい。
私自身も、分からない。
『…あるよ。いっぱい』
また一つ、流れ星が流れる。
背伸びした恋よりも、ずっと隣にいれる支えを選ぶ。
私の、癖なのかもしれない。
「普通はそうか」
『だと思うよ』
今は、今だけは。
隣で空を見上げる彼に触れたいと思うけれど。
「…ん？なに？」
『なんもない』
見つめるだけで、手は届かない。
『…好き』
聞こえないように、気づかれないように。
小さな声で、もう一度だけ。
キラリと輝いて消えていった流れ星に、願い事。
″ 智の隣にいられますように ″
きっと、誰よりも君を想っているのは、今日も明日も私だけ。
そう信じて目を閉じた。
「願い事した？」
『さあ』
「なんやねんそれ」
『秘密』
___Fin
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凜憧(プロフ) - 一波さん» 一波さん！いつもありがとうございます(´ｰ｀)こちらこそ、今年も沢山の励みをありがとうございました！一波さんも良いお年を(^ワ^=) (2019年12月22日 15時) (
レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - のんちゃんの最新作両片思いで焦れったくても〜！って、やきもきしちゃいました！今年も素敵なお話たくさんありがとうございました(^^)よいお年を(^^)素敵な (2019年12月22日 6時) (レス) id: b7aae62310 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - お返事ありがとうございます！こちらこそ面白いお話ありがとうございます！これからも楽しみに待ってます！ (2019年10月4日 23時) (レス) id: 00967ad8ca (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 一波さん» ありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです、頑張ります！こちらこそ閲読いただいてありがとうございます！ (2019年10月4日 19時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - 私を覚えていてください。今読みました！すっごく後に引くお話だったので新作として書いてくれるの嬉しいです！ステキなお話ありがとうございました。 (2019年10月4日 0時) (レス) id: 00967ad8ca (このIDを非表示/違反報告)
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