おはよう、今日も好きです。《赤》

#8 文化祭は波乱の予感？ ページ8

.






「お前さ、今日変やで」

『え、どこが？』

「…なんとなく」

『そう？いつも通りだよ』

「あっそ」





それだけ言ってそっぽを向く重岡。


気遣ってくれたのかな、なんて。

嬉しかったけど、やっぱりその瞳が私を見ることはなくて。


結には勝てないなあ、なんて勝手に落ち込む。





『ねえ、重岡』

「ん」

『ごめんね』

「は？」

『結と一緒に回りたかったでしょ』

「…別に」





そう言った重岡の目は凄く切なそう。


結とくっついてほしくなくて、彼の気持ちに薄々気づいてたのに私は重岡をとった。


自分でやったくせに、私だったら耐えられないなあ…なんて。

ほら、結局自分勝手な奴なんだもん。

重岡が好いてくれるわけないよ。





『ごめん、ちょっと私行くね！』

「は？え、ちょ、おい！」





やっぱり私に勝てるものなんてない。

こんなことになるなら、三人とシフト変えればよかったな…


戸惑っている重岡を置いて、後ろが見えなくなるまで走る。





『っ、…大好き、なのに、』





なんで伝わらないの？
どうして私を見てくれないの？

…私じゃ、ダメ？



立ち止まって、溢れ出そうになる涙を必死に堪える。



重岡にはもう、特別な人がいる。


どんなに頑張ったってその特別はきっと変わらない。
変わってくれない。



そんなこと思いだしたらキリがなくて、こんなんで文化祭楽しめるかなって苦笑い。



まだ少し時間はあるけれど、早めに行こうか。

重岡への気持ちなんて忘れちゃうくらいに、みんなと一緒に楽しめばいいよね。


…うん、大丈夫だ。きっと楽しめるよ。

#9 喧嘩なんてしたくない。→←#7 好きって偉大。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す