夏恋注意報《赤》

▽24 三秒ルール ページ24

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「なにが引っかかんねん」

『なにがって、…全部？』

「…」

『ちょ、あからさまに真顔になるのやめてよ。
しょうがないじゃん！！』

「もうわけワカメやわ」

『ワカメ…』

「真に受けんな」

『ごめん受けた』





お前の気持ち次第やろ。


分かってるよ。
それが分かってたら苦労してない。

やっぱ藤井に聞いたの間違いだったな…





「三秒ルールとかやってみたらええやん」

『三秒ルール？』

「食べ物ちゃうねん」

『食べ物しか知らねえよ』

「目合ってから三秒で逸らすってやつ。
はあ…女子って恋愛に関して知っとるんちゃうん？」

『知るかそんなもん』

「あ、そうやん。お前女子ちゃうわ」

『おい』

「文句は行動に移してから言え」





スパルタ藤井に打ちのめされること僅か二十秒。

…撃沈。



世の中の若者は新しい三秒ルールを作っているのか。
私の世代は食べ物しかなかったよ？三秒ルール。

待って。私が知らないだけかもしれない。


みんなどうやってそんなこと知るのさああ！！





「あ、ほら。次重岡のクラス体育やん」

『うそ！』

「嘘言うかアホ」

『本当に一言余計なんだよね藤井の言葉。
でもこっち向くとは限らな…』

「向いてるけどな」





え。





「手振ってるやん」

『なんっっで！！』





一秒。

ああ、本当だ。手振ってる。
…振り返すくらいは、いいよね？


二秒。

わ、出た。あのとびっきりの笑顔。
好きなんだよなあ、あの太陽みたいな重岡くん。



三秒…





『え…』

「やることまで一緒やん。
重岡とA、仲良すぎやろ」





三秒。

不意に逸らされた目線。
ずるいよ、重岡くん。


なんでって、寂しいって、気になっちゃうじゃん。





「A」

『なに、』

「悲しそうな顔してる」





好きなのかな。

重岡くんのこと、好きに、なっちゃったのかな。





『藤井、私、なんか変。
重岡くんに目逸らされただけなのに、泣きそう』





ねえ、重岡くん。





「ん。そっか」





恋愛って、初心者には難しすぎるよ。

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