夏恋注意報《赤》

▽23 好きと嫌いは紙一重 ページ23

.






『はあああ…』

「なんやねん」

『うっさいねん』

「エセやな」

『うるせえ』





翌日。

そうです。翌日です。





『あーもう無理っ！！』

「いやなにがやねん！」

『藤井〜っ、、』





昨日は、あれから何事もなく。

普通に帰ったのはいいものの…





『なんで、あんなこと言うかなあ…』





帰り際。
耳元で言われた「好き」の言葉が、離れなくて。

思い出すだけで、体が熱を帯びる。


別に重岡くんとどうなったって、構わない。

放課後が暇になるだけだし、気まずくなったとしても学年が違うから気にならない。


……はずなのに、なあ。





「はー、こっちまで調子狂うわ」

『なんで私のせい』

「どうせ彼奴やろ。重岡やろ？」

『いや、まあ…』

「……相談くらいなら、聞いたるわ」

『え？』





聞き間違いじゃないよね？


藤井が、あの藤井が。

相談なら聞いてくれるって！言った！！





『え、本当に！？』

「聞くだけやからな」





ぶすっとした顔の藤井。

初めて藤井をいい人だと思った。
うん、感謝。本当にありがとう藤井。





「で？なに」





…って、思ったのに。





「……は？」

『え？』





話し終えたら、こんな反応。


なに言ってるんだとでも言いたいのか。おい。

いや、笑うなよ！！





「くふっ、アホやんA」

『いや、意味分かんねえ。
なにがそんなにおかしいわけ？』

「いやー？」

『は、教えてくれないの！？』

「聞くだけや言うたやろ」





前言撤回。





『藤井のアホ！！』





やっぱりこんな奴大っ嫌い！！

▽24 三秒ルール→←▽22 映画と手と恋心

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す