プロ野球と短いお話

背番号とパスワード De3 ページ4

きーちゃんさん request

「...そろそろパスワード変えなきゃなぁ」

「え？なんで？」

「セキュリティ対策。カジもしときなよー。」

「んー。」

でも俺はそんなに使わないしな。機械は苦手だけどAがやってくれる。

「んで？なんにすんの？」

聞けば4桁の数字らしい。

「んー、1921かな...」

「1921？ ワシントン会議？」

「変な所で知識を発揮しなくてよろしい。」

これでも、高校は勉強の特待なんでね。そんくらいの知識はありますよ。

「んじゃ、なんで？」

「え、だって可愛い可愛いヤスアキくんと今永くんの背番号じゃん♡」

……知ってた。知ってたよ。俺の彼女が面喰いだってことくらい。
加えて若い子好きだってのも知ってたよ。

「無理無理。お前にはあの純粋なヤスと昇太は無理。」

「うるさい。言われなくても分かってるから。」

そう言いながら、ポチポチとキーボードを押す。

1、9、2、1

打ち終えてから、満足げにEnterキーを押すとひと伸びした。

「でーきた。うふふふ。これから毎日、ヤスアキくんと今永くんの背番号を感じながら仕事ができる。あー、幸せっ！」

満面の笑みの彼女。

俺、一応彼氏なんだけどなー(棒)

「俺のじゃダメだったの？」

「え、だってカジの背番号、3じゃん。4桁入れようと思ったら3333だよ？セキュリティとかクソッタレって感じじゃん」

自分の背番号を、少しだけ憎む。くそ、なんで1桁なんだ。いや、いい事のはずなんだけど...。なんか、急に2桁が羨ましくなってきた。

「あ、今2桁の背番号がいいなーって思ったでしょw」

「あーはいはい、思いました。」

Aには隠し事なんて無理。直ぐにこうやってバレる。

…俺が下手なのかな？

「うふふふ。そんな可哀想な梶谷くんにいいことを教えてあげましょう。」

「なんですかー」

Aのいい事なんて大体いい事じゃない。

「あ！信じてないな！もういい！言わなーい」

「え、ちょ！それはダメでしょ。ちゃんと言って。」

「えーー。」

こう言いつつもAは何だかんだで言ってくれる。

「………私の前のパスワードは6333だよ。」

「え！」

それって...

「はい！このお話は終わりね！」

「なぁ、A。もしかして、その数字って...」

「この話は終わりって言ったでしよ！」

少し耳を赤くしてそっぽを向くA。なーんだ。

「Aも何だかんだで俺のこと大好きだよね」

「...やっぱり、パスワード戻すわ……」

ほらね。君は俺のことが大好きみたいだ。

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