おやゆびひめの日常

初勝利3 #30 8/30 ページ10

37「今日のヒーローでーす!!」

そう言うと、選手の中から口笛だったり拍手だったりが上がる。

37「さ、入って入って。」

そう促されて、恥ずかしそうに入ってくる飯塚くん。

30「えっと。今日は本当にありがとうございました。今日、勝てたのは皆さんの援護のお陰です。」

そう言うと更に大きくなる拍手。

その拍手の中から不意に音楽が聞こえ始めた。それに伴って少しずつ小さくなる拍手。拍手が消える頃には、歌詞に入ろうとしていた。

30「文理の……！」

横を見るとニヤニヤしながらスマホを握っているごう。スピーカーは飯塚くんの方に向けている。

『歌うかな？』

「歌って欲しいな。」

するとごうの期待通りに飯塚くんは口を開いて、大きな声で歌い始めた。

「越後の平野 蒼穹はるか
夢呼ぶ風に 流れあり
青雲万里 翔ぶ彼方
四季の試練を 越え行かん
此処に吾れ在り
日本文理高等学校」

やばいね。面白過ぎる。ヤスアキなんてカメラ持つ手が笑いをこらえて震えてるよ。

39「よっ！」

前回の時も一緒になって踊っていた嶺井さんが今回も一番最初に反応した。

それに呼応して静まっていた拍手がもう一度鳴らされる。それは、大切な大切なプロ初勝利を讃える祝福の嵐だった。

『忘れらんないねぇ。』

「ここまでしたから忘れて欲しくない。」

『あんたは何もしてないでしょ。』

「打った。」

『猛打賞は？』

「それは……。」

『はい、嶺井さんを敬って。』

「また明日で。」

さぁ、明日も頑張ろうかな。飯塚くんの勝ちを無駄にしないようにね。


✄--------------- ｷ ﾘ ﾄ ﾘ ---------------✄


はい、終わりです。

４連投、疲れました。

でも、小林のも書きたいなぁ。でも眠いなぁ。
せめぎ合う接近ー回避の欲求たち。

Our time is N.O.W. 9/1→←初勝利2 #30 8/30

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す