怪奇バレーと死神一行【HQ×境界のRINNE】

◇怪奇合宿２日目 ページ42

瞼に明るい光が差し込み、たちまち闇を溶かす。目をゆっくりと開けると、あんなに暗かった空は水色に染まって随分と明るくなっていた。自らが開けたカーテンを閉めてから、もぞもぞと布団の中で体を揺らし部屋の壁かけ時計を見やる。時刻は6時25分位だろうか。起床時間まであと5分ある。ほんの少し早く目を覚ましてしまったようだ。

　暖かくなった布団から体を出し、大きくあくびをする。大量の酸素が肺に吸い込まれていくのを感じながら、開けすぎた口を閉じた。布団を剥いだせいで、少しだが温度差が生じ桃芽は身震いした。こういうときに二度寝をすると最高に気持ちいいのだが、いかんせん今は合宿なので耐えなくてはならない。

　そんな事をしていると、桜とれんげが目を覚ましてしまった。起こしてしまっただろうか、と少し罪悪感を感じながらも、とりあえず朝の挨拶を済ませておくことにした。

「ん、んん……おはよ」

　声の出を確認しながらその挨拶を終えると、まだ寝ぼけた顔の2人がバラバラに「おはよう」と返事をしてくれた。いつもは見れない彼女らの日常的な一面を見れた気がして、なんだか桃芽は嬉しくなった。

　すると、起床時間を告げるアナウンスと音楽が流れ始めた。皆さん、おはようございます。起床時刻となりました。生徒の皆さん、速やかに起床してください……。

*

　気づけば閉じていた目をこじ開けると、それに反応して体の機能が働きだしたのか小鳥のさえずりが耳に入った。何の鳥かは分からなかったが、朝の訪れを告げるにはぴったりの声だとは思う。十文字はひとまず布団を剥ぎ、まだ重い瞼をどうにか軽くするために伸びをした。

　いつの間にか寝てしまっていた様だ。夜遅くまで起きてりんねと何か語らう予定は無かったので別に良かったが、そこらの記憶がすっぽり抜け落ちているのはあまり気分が良くない。どうにか記憶を呼び覚まそうと思考を回転させるが、まだそちらは眠りについているのか一向に思い出せず変な声で唸ってしまった。

　そうこうしている内に、起床時間を告げるアナウンスと音楽が流れ始めた。皆さん、おはようございます。起床時刻となりました。生徒の皆さん、速やかに起床してください……。

　まだ眠っている頭にそのアナウンスは意味無し同然で、次々と右から左へ抜けていく。まだ寝息を立てているりんねもそのようだ(彼は完全に眠っているのだが)。面倒だが彼を起こさなければならない。朝から何てことを、と十文字は１人嘆いた。

◇2→←◇36

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す