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変わらず青い空が広がる外。バスが先程より増えているのは残り2校が到着したからだろう。少しだけ狭くなった道を通り抜けて宿舎の敷地外に出ると、先頭のれんげがくるりとこちらに体を向けた。
「じゃあ、早速出発するわよ。 六道のせいで遅れたから予定変更多くなるかもしれないけど、ちゃんとついてきて」
りんねを睨み付けるように見てから、れんげはまた体を元の向きに戻した。やたらと早く足を動かすので、少しぼーっとしていて出遅れた桜は小走りでその背中を追わなければならなかった。
「あのさ真宮さん」
桃芽が桜の顔を覗き込むようにして話しかけると、桜はそういえばと自分も口を開いた。
「桜でいいよ」
「ほんと? ちょうど桜ちゃんって呼んでもいいって聞こうとしてたんだ。 私も桃芽でいいよ」
表情をぱっと明るくさせて笑う桃芽。それを見た桜も笑顔になって、
「じゃあ桃芽って呼ぶね」
と言った。元気に「うん!」と嬉しそうに目を細めながら返事を返す彼女の印象は、桜の中で初対面の時とはすでにがらりと違うものになっていた。
ふと、桃芽が思い出した様に「あっ」と声を溢す。
「四魔さんもれんげちゃんって呼んでいいかな」
今度は先頭の黒い頭に大きい声で問うと、れんげは少し歩くスピードを落として返答した。
「いいけど?」
短い言葉だったが、桃芽の問いに答えるには十分だった。
「やった!」
無邪気に喜ぶ桃芽。霊が見えてしまうという普通の人とは違う体質が自分だけでは無くなった今、彼女の行動を制限する隔たりはない。
「最初に行くのはどこだっけ」
「ここから歩いてだいたい15分位の渓谷。 そこで班の集合写真を撮るの」
「渓谷かー。 楽しみだねっ、桜さ……真宮さんっ」
「なに白黄に便乗して下の名前で呼ぼうとしているんだお前は」
「そうですよ十文字」
他の班とは違うこの班。これから1週間何が起こるか分からないが、きっと大丈夫な気がする。桜は騒がしくなった皆の様子を見て微笑んだ。
「あ、そうだ、
――え。
桜の胸が一度だけ強く跳ねた。自分やれんげには確認を取っていたのに、りんねには確認もせずにいきなり下の名前で……。
桃芽はそれに気付いたらしく慌てて訂正していたが、桜の胸のわだかまりは取れずにそのまま残った。
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あいloveあきら(プロフ) - 流れ星さん» その通りです。永華チャンがでかいだけです。 (2016年4月26日 22時) (レス) id: 93c1b013ec (このIDを非表示/違反報告)
流れ星 - 菅原くんってそんなに身長大きくないような…と思ったけど、永華さんがデカいだけな気がした。 (2016年4月26日 22時) (レス) id: ff41ad54a4 (このIDを非表示/違反報告)
愛吹(プロフ) - 流れ星さん» 閲覧、コメントありがとうございます! これから恋愛シーン沢山入れる予定なので私も楽しみです! これからも見て頂けると嬉しいです! (2016年4月26日 16時) (レス) id: a491fb7239 (このIDを非表示/違反報告)
あいloveあきら(プロフ) - 流れ星さん» コメントありがとうございます!国れん国いいですよね!!気が合いますね!!やったぁ!!!!! (2016年4月26日 16時) (レス) id: 93c1b013ec (このIDを非表示/違反報告)
流れ星 - 作品読ませていただいてます! これはもしやクロスオーバーでの恋愛成立……!?国見くんとれんげちゃんのカップルですか!? 私、クロスオーバーカップル大好きなので国れん、もしくはれん国おいしいです!!!ありがとうございます!!!!!!!!!! (2016年4月26日 15時) (レス) id: ff41ad54a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2016年4月13日 19時