悪魔祓いと昔日の夢 5 ページ26
「あ、ねぇマスター、部屋変えてほしいんだけど」
「は？」
居間に降りると、すっかり着替え終わったきりやんとスマイルがぴったり揃った動きでこちらを振り返る。昨日から二人は同室として一部屋を使ってもらっているが、何かあったのだろうか。
「どうして？ 喧嘩でもした？」
「そうじゃないけど……なんかやだ」
「いやぃやゃ、おれだって一人で広い部屋使いたかったし」
「……まぁ、しばらくはそのままにしておこうかな。きっと仲良くなれるよ」
えぇ！？ なんて、朝から元気に驚く声を上げるきりやんと、対照的に小さくため息をつくだけのスマイル。何があったのかはわからなかったが、何となく上手くいくような気がする。
そんなことを考えていると、不揃いな足音が聞こえてきた。ようやく残りの三人も起きてきたようだ。
「……おはよ〜」
「おまえらまだ着替えてないのかよ」
「今おきたの！」
朝食のパンを七枚。黄金色の焼き目を付けると、染み込んでいたバターの香ばしい香りが漂う。皿いっぱいのフルーツやレタスがテーブルに彩りを加え、モーニングティーがカップに入れば爽やかな朝の訪れだ。
「そういえば、きんとき昨日どこでねてたの？」
「え」
「おれらの方はきてないよ」
「こっちも二人だったけど？」
みんなの視線がきんとき一人に集まる中、SOSとでも言いたげに彼はこちらに視線をよこす。これは……彼のことを考えると、なんと言うべきか迷う。
「え、なになにきんさんもしかしてぇ〜？」
「……そうだけど」
頬を赤くしたきんときがBroooockの言葉に同意を示すと、彼はあからさまににやにやと薄ら笑う。
「ヤダ〜きんときくんお子さま〜〜」
「うるせ！」
事実、全員お子様なのだ。甘えたっていいし、弱くたっていいが、このぐらいの年頃の子ども……特に男の子は見栄を張ろうとするものなのだろう。角度のついた朝日が窓からいっぱいに侵入して、子どもたちを優しく照らしていた。(余談だが、きんときはしばらくみんなから小突かれていた。仲がよろしい。)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 157人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葡萄(プロフ) - ビー玉さん» ビー玉様、再度コメント頂きありがとうございます。これからも自分のペースで、自分らしい作品を書いていきますので、今後とも応援頂けましたら幸いです。 (8月10日 23時) (
レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
陽菜(プロフ) - 葡萄さん» 楽しんで書けていらっしゃるなら何よりです！更新楽しみにしております！ (8月8日 16時) (レス) @page21 id: 297ef0e004 (このIDを非表示/違反報告)
ビー玉(プロフ) - いつも読んでて楽しいです！更新頻度が高くても、低くても、主さまが楽しく書けたお話を読めてとてつもなく嬉しいです。数あるWTさんのお話の中で、他とは一線を画すようなお話がすごくカッコいいです！これからも応援してます！ (8月8日 0時) (レス) id: 7a07f59bfb (このIDを非表示/違反報告)
葡萄(プロフ) - 陽菜さん» 陽菜様、コメントありがとうございます。お気遣い頂き誠に嬉しく思います。長期の更新停止も考えたのですが、1ページ書いて執筆の楽しさを再確認してしまいまして、また楽しんで書くことができるようになりました。ご心配して頂き本当に有難く思います。 (8月7日 23時) (レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
陽菜(プロフ) - すみません、主様がたくさん更新するぞ！と息巻いているところに水を刺すようなコメントをしてしまいましたね、後から気づきました…。申し訳ないです。でも本当に、焦らず楽しんでほしいとは思ってます。無理はなさらずに！！ (8月6日 22時) (レス) id: 297ef0e004 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葡萄 | 作成日時：2023年4月21日 21時
