▲スキトキライ▼ ページ33
.
櫻井が目を覚ますと、目の前には白い天井が広がった。
特徴的な鼻を刺す臭い。どうやら、ここは病院らしい。
「……翔？」
低く優しい声が櫻井の鼓膜を揺さぶった。
ゆっくりと瞳を動かすと、視界に見慣れた恋人の顔が映った。
「潤さん……」
「目が覚めたか」
「ここ……」
「病院だ。大丈夫、少し煙を吸ったくらいで、どこも怪我はしてない」
微笑んだ松本の手が櫻井の頭を優しく撫でる。
それは何年も与えられ続けてきた愛。
安心して目を閉じようとした櫻井は、ハッとして目を覚ました。
「センセイっ……大野センセイは？」
櫻井が体を起こすと、松本はそれを慌てて止める。
「おい、一応まだ起きない方がいいって」
「センセイは？」
櫻井の瞳がかすかに潤んでいることに気が付いて、松本は櫻井を抑える手の力を抜いた。
「隣の病室にいる」
松本が最後まで言い終わるより前に、櫻井は松本をそっちのけで病室を飛び出した。
.
隣の部屋の扉を躊躇もなく開け放つ。
櫻井の病室と同じ形状の部屋、窓のすぐそばに置かれたベッドで、大野が眠っていた。
太陽の光が、柔らかく大野を包み込んでいる。
一歩、一歩と櫻井は眠る大野へと近づく。
「セン、セ……？」
大野は、動かない。
櫻井は奥からこみあげる物に気が付いた。
視界がぼやけて、すぐにクリアになる。
「センセ……」
櫻井は大野へそっと手を伸ばした。
その瞬間、ピクリとまぶたが微かに揺れた。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 319人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
破紅(プロフ) - 磁石真紀さん» ありがと〜！うんそうそう、実はね、笑 お楽しみいただけて何よりです。また次もよろしくねー、笑 (2014年12月5日 16時) (
レス) id: 13f7586b48 (このIDを非表示/違反報告)
破紅(プロフ) - ゆらさん» 感想ありがとうございます。二人のキャラクターを読み取っていただけてとても嬉しいです。あ、キャーってなっていただけました？笑 智さんにはあのセリフを言ってほしかっただけなんです← 最後までお付き合いありがとうございました！ (2014年12月5日 16時) (レス) id: 13f7586b48 (このIDを非表示/違反報告)
破紅(プロフ) - 櫻野さん。さん» ありがとうございます。キュンキュンしていただけたのならよかったです♪お楽しみいただけたようで大変光栄です。頑張らせていただきますので、またよろしくお願いしますね、笑 (2014年12月5日 16時) (レス) id: 13f7586b48 (このIDを非表示/違反報告)
破紅(プロフ) - ひまりさん» ひまりさん、最後までお付き合いありがとうございました！大野さん格好良くなってましたかね？それならよかったです。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いしますね♪ (2014年12月5日 16時) (レス) id: 13f7586b48 (このIDを非表示/違反報告)
磁石真紀(プロフ) - 完結おめでとう!先生智と生徒翔、うんよかった(//∇//)潤さんは高校の先生だったのか!その設定にちょいとビックリ(°д°)次回作も楽しみにしてるよ〜 (2014年12月4日 11時) (レス) id: a3c79f05ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nil | 作成日時：2014年11月8日 15時
