０回目 [死神の鎌] ページ3
「詳細は？」
慣れた手つきでハンドルを握りながら松陰寺が冷静に尋ねた｡
「容疑者は成田秀平24歳､元コンビニ店員で現在無職。旧勤め先は現場であるfriend martで何らかの理由で先週解雇されたようです｡なので､動機は恐らく怨恨かと」
俺は美希が送ってくれたメールを読み上げる｡
この異常な町では、こういったことはそう珍しくない。そのため我々警察官も選び抜かれた精鋭達が派遣されるのだ。
「OK」
現場近くの民家に協力を要請し車を停める。
外から伺うと見る限りは男一人の犯行のようだった。
「これくらいなら突撃で何とかなりそうですね」
岡部が安心したように言う。
「突撃したら､兼近は銃口が逸れた時に店員の安全確保をしてくれ。岡部､お前は俺と容疑者の確保だ」
こんな風に指揮を執る松陰寺を見ると、やはり先輩なのだと思わされる｡
「じゃ、さっさと片付けちゃいまshow time！」
なんてことない､普通の事件のはずだった。
カチ、コチ、カチ｡
ここにあるはずのない時計の音が聞こえた気がした｡
行くぞ､と松陰寺が合図する｡
それと同時にコンビニへ駆け込んだ｡
「手を挙げろ！」
男は突然の警察登場に驚きフッと銃口が定員から逸れた。
今だ、と思い俺は店員の安全を確保する。
作戦通りだ､上手くいった､そう思われた時だった｡
「ガァン！」
銃声と共にうっ、という鈍い声が聞こえる。
音の方に目を向けると､そこには居るはずの人がいなくなっていた｡
否､視界からいなくなっていたのだ。
松陰寺が蹲り俺の視界から消えた､ということ。
一体なぜ？
床に倒れ込んだ彼は､赤く染っていた｡
絵の具のような赤だけが目に映る。
綺麗だ、なんて、馬鹿みたいだ。
暫く現実を受け止めきれずに静止してしまった。
「兼近っ！」
岡部の叫び声にハッとする。
彼は必死の形相で男を拘束していた。
「早く救急車を呼べ！」
「は、はい！」
きゅうきゅうしゃ…。きゅうきゅうしゃ？
スマホに並んだ数字を前にして何を押せばいいのか分からなくなった。
「何してんだ！早くしろ！119だ！119！」
そうだ､119｡
何コールかした後、プッと受話器が取られ声が聞こえた｡
『火事ですか？救急ですか？』
知っているはずの質問。
「あ、えと」
声が、言葉が出てこない｡
「貸せっ！」
そんな俺に痺れを切らした岡部が乱雑にスマホを奪った｡
全ての音が､遠く感じた。
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MUGI - 虎のすけさん» ありがとうございます！コメントは励みになるので嬉しいです笑 (2022年3月30日 23時) (
レス) id: 26f7606c1b (このIDを非表示/違反報告)
虎のすけ - お久しぶりです。作品すごく面白くて大好きです！続きが気になり過ぎます…！無理せずMUGIさんのペースで頑張ってください。応援しています！ (2022年3月30日 20時) (レス) id: 0fdf869e64 (このIDを非表示/違反報告)
MUGI - MOKKAさん» ありがとうございます！更新遅いですが必ず完結させますので！ (2022年2月5日 18時) (レス) @page15 id: 26f7606c1b (このIDを非表示/違反報告)
MOKKA(プロフ) - はぁ…最高…！！（←語彙力どこいった）続き楽しみです！ ハッピーエンドになっても、バットエンドになっても好き…！ (2022年1月26日 16時) (レス) @page11 id: d9dd59fc63 (このIDを非表示/違反報告)
MUGI - 自分でも「は？」みたいな感じになってきました…笑。分かりずらかったらすみません！なんとなくで、なんとなくでいいです… (2022年1月23日 20時) (レス) id: 26f7606c1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MUGI | 作成日時：2022年1月7日 14時
