？？？ [感情と道徳] ページ19
「俺さ、いつも思うんだよな。無理無理って、どうしてそう言えるんだ？何がどう無理なんだ？…ずるい言葉だよ、ほんとに」
岡部の言う事はわからなくもない。
だけど。
「それは、アンタが当事者じゃないから言える事でっ…、俺の戻れない苦しみ、後悔なんてこれっぽっちもわかってない！」
感情が昂って目上の人に対する言葉遣いではなくなってしまった。それでも今はどうでもよかった。
そんな俺に反し岡部は至って冷静に答える。
「当たり前だ。俺はお前じゃない、仮に立場が逆だったとしても俺は今のお前と別の感情を抱くかもしれないだろ。人の感情なんて誰にも理解できねぇよ。…そう考えると、道徳の授業の人の立場になって考えろ、って相当な無茶だよな、はは」
その通りだ、返す言葉もない。その人の気持ちはその人にしか分からない。
また地面の砂利を見つめる。彼はそのまま話し続けた。
「…それに、戻れない苦しみが後悔なら、そもそも選択肢なんて救いじゃあないんじゃないのか?どれを選んだって、後悔する。そういうふうにできてんだよ、人生。…でも、それなら1番マシな選択をすればいい」
「……」
1番マシ。
その言葉が、すとんと心に落ちていく。それがなんなのかはまだわからない。でも、今のままは嫌だと感じているのは、確かだ。
「…その感じじゃあないとな、お前らしくいろよ」
包み込むような笑顔で岡部が俺を見つめた。
雲に隠れていた太陽が、また顔を出す。眩しい光に思わず目を細めた。
「…なんか、あざす」
「はは」
一つ。一つだけ思い当たることがある。
「…俺が」
「ん？」
この選択は、見て見ぬふりをしてきた。
でも今となってはそうも言っていられないし、何よりそれしかないのだ。
「俺が、俺が死んだ場合はどうなるんすかね」
「………本気か」
俺の意図を汲み取ったのか、息を飲む音が聞こえた。
「残念ながら」
皮肉っぽく笑うと、そうか、と渋い返事が帰ってくる。なんだよ、乗り気じゃなさそう。
「やってみる価値はありそうなのか？」
「…五分五分っす。インジさんの死で繰り返してきたから、インジさん自体がキーだと思ってしまっているけれど、もしかしたら『死』そのものなのかもしれない。でも、全然そうじゃないのかもしれない」
岡部は考え込むように一点を見つめた。
ようやっと口を開いたと思えば、発せられたのは予想外の言葉。
「繰り返し……。《リターン》って呼ばないか？」
「は？」
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MUGI - 虎のすけさん» ありがとうございます！コメントは励みになるので嬉しいです笑 (2022年3月30日 23時) (
レス) id: 26f7606c1b (このIDを非表示/違反報告)
虎のすけ - お久しぶりです。作品すごく面白くて大好きです！続きが気になり過ぎます…！無理せずMUGIさんのペースで頑張ってください。応援しています！ (2022年3月30日 20時) (レス) id: 0fdf869e64 (このIDを非表示/違反報告)
MUGI - MOKKAさん» ありがとうございます！更新遅いですが必ず完結させますので！ (2022年2月5日 18時) (レス) @page15 id: 26f7606c1b (このIDを非表示/違反報告)
MOKKA(プロフ) - はぁ…最高…！！（←語彙力どこいった）続き楽しみです！ ハッピーエンドになっても、バットエンドになっても好き…！ (2022年1月26日 16時) (レス) @page11 id: d9dd59fc63 (このIDを非表示/違反報告)
MUGI - 自分でも「は？」みたいな感じになってきました…笑。分かりずらかったらすみません！なんとなくで、なんとなくでいいです… (2022年1月23日 20時) (レス) id: 26f7606c1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MUGI | 作成日時：2022年1月7日 14時
