『暗闇の堕天使』復讐・雷門編ー剣城京介ー (ページ31)

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031 必死の祈りページ31

*

徐々に、祐樹の息が弱々しくなる
私は血染めした手で、祐樹を離さず

懸命に、強く出血を止めていた

「大丈夫だ！」
「…祐樹！私が私が…必ずお前を助けてやる！」

「絶対に、死なせやしない！」

苛立つ自分を責め、必死に祐樹に言い聞かせる

私の様子を見ながら、周りの人達が
祈る様に救急車を待ち侘びていた

「…まだ…まだなのか！？救急車は！？」

「早くしないと！…子供がっっ！！」

泣き叫ぶ女性の悲痛な声が
薄暗い空を突き抜け、天に叫んでいた

私には、この長い時間が
とてつもなく、長く長く感じられた

それは、此処に居た人達も私と同様に思っていた

一秒、一秒が

死のカウントダウンに、近付き刻む

遠くから、救急車のサイレンが近付いて来た

やっと救急車が到着し、救急車の中から
救急隊員が慌ただしく降り、私達に近付いて来た

私から救急隊員が、引き継ぎ
手早く処置をし始めた

祐樹は、担架に乗せられ救急車に運び込まれた

「皆さん、退いて下さい！」

救急隊員の一人が、私に問い掛けてきた

「キミ、知り合いかね？」

「キミも一緒に救急車に乗って」
「病院に、付き添ってくれないか？」

『…はい！』

私は直ぐに返事をし救急車に乗り込み病院へ向った

その頃、雷門中の部員達は…総合病院に居た

「先生どうですか？生徒の怪我の具合は…」

円堂が、心配した顔で、主治医に尋ねていた

主治医は、眼鏡のブリッジを軽く上げ
カルテを見つめながら言った

「__ 最初、見た目は酷い怪我だと思われましたが」

「診察しているうちに」
「幸い、急所が外れていたのが分かり」

「怪我の程度も、比較的軽いので」
「後は、皆さんの意識が戻れば大丈夫ですよ」

主治医が少し笑みを浮かべ、音無に微笑んだ
それを聞いた音無が、安堵の表情をし溜息を吐いた

「良かった…思ったより酷くなくて」

「そうですか、先生有難うございます」

円堂が主治医に礼をし
診察室から、廊下に出て来た

「思ったより、大した事なくて良かったな！」
「剣城！これなら帝国の試合に出られそうだ」

「…… 」

ニカッと、笑いながら俺に話を振る円堂…
俺は黙ったまま、アイツの事を考えていた

あの破壊力で攻撃されて

急所が、ハズれていただと…！？

北條ならば、確実に仕留めて決めていた筈だ

ワザと、外したと……言うのか？

力を…分散して…