【文スト】君は要らない【太宰治】

沈黙【姫歌さんとコラボ】 ページ39

◇

「……あれ？」

太宰の兄、Aが地に足つけて立って周りを俯瞰した時、じっと近くを凝視し、嗚呼と早くも納得した声を出す。この夢の世界、来るのは訳ありの者ばかりで、集まるのは必然的に天才や怪力などになる。

閑話休題。

Aは横浜に居るが夢の中だと意味不明かつ状況にも慣れぬであろうに、普通に歩き出す。何処の主人公も図太く生きていかねばやっていられないのだろう。心中お察しするしかない。

そして刹那、少女と目が合う。

「太宰さ……！？」
「僕も確かに太宰だけど、一寸違うな」
「ぼ、僕……？」

状況が飲み込めないらしい少女は、僕……？と反芻すると、口を尖らせてAの方をじろりと一瞥する。やれやれ、と手首の辺りをそっと見せてやると、包帯がないことからなんとなく違う人だと判って貰えた。

「す、すみません……」
「ねぇ、君。多分治が失礼なことしたでしょ？」
「いえ、そんなことは＿＿！」

急いで少女は云うが、Aを見たときの怯えようやら微表情やら、証拠は溢れんばかりにある＿＿無論、こんな手腕を使えるのはAだけだが。

しかし、代わりに言葉を次ぐ。

「アレで弟も苦労人だ。僕に免じて許してやってくれ」
「……ゆるす？」

くすり、と笑って少女は云う。嘘というには自然過ぎたし、なにより少女の笑顔は眩しすぎた。

「怒ってなんていませんよ」

これが太宰Aと恩田Aの、出会いの話。

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姫ちゃんこと、姫歌ちゃんから太宰(兄)借りましたよ……余りにもかっこよすぎます。大ファンなので皆さま読んで頼みます！続くかもです……(姫ちゃんがOKすれば)【文スト】兄弟 戦争【太宰治】 【男主】の主人公です！

惨め生真面目けじめ。→←ふわん、と舌っ足らずに云った。

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