【文スト】君は要らない【太宰治】

むず痒い痛みはやがて ページ34

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黒い空間に落ちていく都市を、ただ走っていた。あの中に何時かは入ってしまうことくらい容易に想像がつくが、それでもAは未だ有に居たかった。

せめて、太宰に一目会いたかった。

そして、謝りたかった。

「あぁあああああああぁああああああああああああああああああああぁぁぁ！！！」

心の底から咆哮する。有り得ない想像を打ち消すために、希望なんて捨てるために、心なんて壊すために。それでも尚、諦めてくれない。なんで、なんでと潔さの欠片もないAは叫び続ける。

「だって、生きていたいから！」

＿＿ガラガラと瓦礫が振るが、野犬特有のすばしっこさを駆使して逃げ回る。足の感覚は麻痺を始めた。

「だって、やりたいことがあるから！」

頬を掠った瓦礫が、Aの前に鮮血を散らす。揺れた視界を強制的に元に戻して、何があっても走り続ける。

「この都市が無くなるまで、私は死ねない！」

決意をあらわにしたAは健脚を擦り切れそうな程に酷使し、横浜の街を縦横無尽に駆けた。空は朝と夜を繰り返し続け、星が降り、雨が降り、雲は変則的な動きを続けた。

世界の終わり、なんて判っている。

だから諦めるなんて、

「格好悪いだろ、太宰？」

だからこそ。

Aは止めない。

悪夢が永遠に変わる前に助けに来てよ、マイヒーロー？

そう笑いながら、Aは走り続けた。

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最終回が近いですね

拝啓、おにーさんお母さんへ、【灯さんとコラボ】→←微睡み醒めずに雁字搦めの蔦の中

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