一寸した出会いと別れと六話 ページ8
鼠__ドストエフスキー。虚ろな目に、流れる黒髪は美しい女性を想起させるが、彼奴はそんな奴ではない。身体の主__少年はこう語っていた。『悪ですらない彼岸の存在』と。
俺の血が高ぶるのが分かる。
「その依頼、乗った」
「報酬は___」
「鼠の生命で償ってもらう」
ホルスターの銃の整備は何時も通り完璧だ。脳天撃ち抜きたくてたまらない。
「……あーあ。Aさんが鼠について一生懸命探し回ってたから坂口先輩頑張ってたっていうっスのに」
護衛の一人がおもむろに口を開く。…あからさまだが。
「そうだな」
無口な護衛も相槌を打つ。
「……坂口……まあ、その……」
あんがとよ。
この時、安吾の心のシャッターが数え切れぬ程押されたのは云うまでもない。
俺はひたすら気恥ずかしさで顔を赤くしていたが。
□□□
「……Aさん、ですか…」
チェスの駒を一つ進め、彼はそう呟いた。チェスの駒はクイーン。頬に十字の傷があった事に、誰も気づきはしないだろう。
「きっと、理想の世界に必要な人ですね」
爪をそっと齧る。顔は恍惚そうだった。
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あ - あの頬に傷がある少年はカルマという子ですよー (2023年1月12日 23時) (レス) @page16 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2018年7月27日 21時