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九 虎 ページ10

太宰さんと国木田さんが取っ組み合いになって居たのをを横目に私は敦くんに声を掛けた。


『今日の依頼は確か虎探し…作物を食い荒らしたり…
人の味を覚えていないだけ良いが…って敦くんどうしたの?』


皿を数枚落とし、敦くんは足早に去ろうとしていた…


「ぼ、僕はこれで失礼します…っさっ…さようなら「待て小僧」」


国木田さんは敦くんを片手で持ち上げ、逃げられないようにした


静けさが突き通った空間を重い空気にしているのは確実にこの二人であるだろう。


「貴様…何か知っているな?「むっ…無理だっ!奴に人がかなう訳無い…っ」」


国木田さんが淡々と尋問らしき事を出来るのが意外だったな…


『国木田さん…その人は被害者ですし、座って話を聞くのはどうです?』


「それに国木田くん…社長に何時も注意されているだろう?」


うちの孤児院は虎にぶっ壊されたんだ


貧乏孤児院がそれで立ち行かなくなって口減らしに追い出された


「それは…災難だったね。」


「それで小僧__殺 されかけたと云うのは?」


「あの人食い虎…僕を追いかけるように…僕の行く所先々に現れるんです…」


「この間も鶴見に出かけていた時に_____きっと僕を追って…街まで降りて来たんだ」


「それは…何時の話だい?」


「鶴見の辺りで彼奴を見たのはたしか"四日前…"です」


「確かに…虎の被害は二週間前からこっちに集中しているな…それに四日前に鶴見の辺りで虎の目撃証言もある」


「敦くんこれから暇〜?」


『逃げたかったら逃げればいい…唯、虎に確実に会えるのは君だ…次は命の保証は零に近いと云って良いだろうね…』


命の保証が無いのは確実__武装探偵社に睨まれた虎に命は無い。


「国木田くんは社に戻ってこの紙を渡すように」


「三人で捕まえる気か…っ?まずは情報の裏を取って…「いいから。」」


「それってつまり餌ってことじゃないですかっ!!」


「『…報酬出るよ?』」


「え…?報酬っ?そんな物じゃ釣られないですからね!」


「…ちっちなみに参考までに聞きますがその報酬と云うのは…?」


「…これくらい」



その後_あまりにも高額な報酬に悲鳴が響いたのは別の話。

十 正体 ※イラスト有→←八 武装探偵社



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作者名:黎明 | 作成日時:2023年9月22日 14時

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