三十九 双黒 ページ38
羊灯の火が辺りを強く照らし始めた。
助けを待つお姫様は泣き疲れたのか…はたまた異能を使い過ぎた代償か眠っている
「眠り姫様ねぇ…」「…ナイフ貸して。」「あぁ"?」
「あ、さっき念の為に盗っておいたんだっけー?」「手前ぇ"…」
太宰は巫山戯ながらQの首に小刀を当てた。
「…止めないの?」
「ボスに生きて連れて帰れと云われたが…その餓鬼を見てると呪いで死んだ部下達の死体袋が目の前をちらつきやがる…
やれよ。」
『…探偵社は殺しをしない違ったかな?まぁ、私が口を出す権利は無いのだけれど。』
「そうかい…じゃ、遠慮無く。」
勢い良く刺したのは木で、中也は少し憤りを感じていた。
「Qが生きている限り、万一の安全装置である私の異能力も必要だろう?ポートマフィアは私を殺せなくなる」
此奴いつ死ぬか分からんし、ある日路頭でパタッと逝くかも?
「どーだかなぁ…」
「おいクソ太宰…その人形寄越せごらぁ!!」
「だーめ!万一の保険だ も の !」
月光を横目にQの頬っぺたを触っていると…
茶番をやってるうちに"何か"が中也を引きずり出し、叩きのめした。
『触手か…!!』
軍刀を取り出し、勢い良く進み、鞘に刀を仕舞った。
その後、突如として現れた斬撃が触手を細切れにしたが…
目にも止まらぬ早さで再生し、吹っ飛ばされた。
『わー。』
びりびりとした感覚が皮膚を伝った、武者震いと云うのだろうか
月影に照らされた地面はやけに綺麗だった。
月…星…黄色……檸檬?
「さすが組合の異能力者!驚異的な頑丈さだ!」
中也を踏み潰しながら言う言葉は正に煽り当然。
ブチ切れラヴクラフトは太宰さんを軽くあしらって吹っ飛んだ。
『…化学の〜え〜、何だっけ中也』
「…2%(☆8*2?」『砂食ってないで起き上がってこい』
中也が触手に触れ、波動の様なものが触手を捻った。
「"異能力無効化が通じない"…」
深手を負い、掠れた声で太宰は云う。
「馬鹿な…有り得んのかそんな事!?」
『ありゃ海の怒りそのものかなぁ…刀で斬ってもキリが無い。』
「…私の無効化に例外は無いよ…Aの仮説で合っている。
あれは異能力じゃないんだ…」「はぁ?」
「まじか…愉快な冗談だなぁおい!」
「仕方ない…懐かしのやり方で行こう…」
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作者名:黎明 | 作成日時:2023年9月22日 14時