平和 ページ3
「A、こっち!」
『にぃ、まって!』
天羽A。この世界に来て4年ほど経ちました。
現在、兄と鬼ごっこをしています。
『つかまえた!』
「じゃあ次は俺が鬼な!」
そう言った兄は、目を閉じて10数え始める。
どうやら私は生まれ変わりなるものをしたらしく、今はこうして平和に暮らしている。因みにちゃんと前世(?)の記憶はある。死ぬ前に推しの顔を思い浮かべたことも覚えている。その顔をもう拝めないのが、残念でならない。
前世と名前が変わっていないのは救いだった。
「0!よーし、A覚悟しろよ!」
4歳相手に本気にならないでください、竜お兄様。なんて心の中で思いながら、全速力で逃げる。鬼ごっこをする時、兄の顔はマジなのだ。普通に怖い。なぜだか運動神経が良く生まれてきた為、鬼ごっこは得意な方だ。でも、兄が怖いので真面目に逃げる。
『あ!にぃ、とまって!』
後ろの兄を確認した瞬間そう叫ぶと、彼は急ブレーキをかけるかのごとく止まった。
「なんだよ。」
『あしもと、あぶなかったよ。』
「うわ、ほんとだ。」
兄の足元に転がっている拳大の石。止めなければ彼はこれに躓いていただろう。
「ほんと、Aは目がいいなぁ。」
そう言いながら頭を撫でてくれるにぃ。
そう。私は生まれつき目がいい。また視野が広く、真後ろが見える、とまではいかないが、それなりの広範囲が見れるのだ。
「竜、A。お昼にしましょう。」
「『はーい!』」
土間で草履を脱ぎ、家に上がる。
家族皆で囲炉裏を囲んで、パンと手を合わせた。
「『いただきまーす!』」
皆さん、おわかりだろうか?
草履、それに囲炉裏。明らかに私が元いた現代ではない。日本であることは間違いないのだが、まるで江戸時代のような暮らしっぷりである。
今の時代は大正。偶々父が落としたお金を見て、ビックリしてしまった。
そう言えば、鬼滅の刃は大正時代って設定だったっけ.....
そんなことを思いながら、ほうれん草のおひたしを口に放り込んだ。
私はまだ何も知らなかった。
この幸せな日々が終わることも、何もかも。
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lynx(プロフ) - たかめいさん» コメントありがとうございます!全部好みだなんて.......嬉しいです(*´ω`*)これからも頑張ります! (2020年5月5日 17時) (レス) id: 5f710f9da6 (このIDを非表示/違反報告)
たかめい(プロフ) - このお話大好きです!キャラの設定から何から全部好みでもう感激です!これからも更新頑張ってください!応援してます!(*^^*) (2020年5月5日 16時) (レス) id: 651a3f3b57 (このIDを非表示/違反報告)
lynx(プロフ) - 蓮莉☆〜(ゝ。∂)さん» 初コメ嬉しいです......!面白いと言っていただき光栄です!これからも頑張ります! (2020年5月5日 16時) (レス) id: 5f710f9da6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮莉☆〜(ゝ。∂) - このお話面白いです!更新頑張ってください! (2020年5月5日 15時) (レス) id: 4e2f990c90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:lynx | 作成日時:2020年4月13日 17時